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 クロアワビ(黒鮑)
 ミミガイ科
 旬の目安〈5月〜8月〉

生で食べるならクロアワビといわれる程、刺身が美味しい。マダカアワビ、メガイアワビに比べて殻はやや細く、足裏は黒い。足の周りの突起は複雑で、はうのは速く、一晩に85mも移動した記録がある。太平洋側では茨城県以南、日本海側では奥尻島以南、九州まで分布し旬は夏。殻長約20cm。

クロあわびに 対して、殻がなだらかで、体色が薄いものを メガイアワビ、殻が高く盛り上がり3〜4個ある孔(あな)も管状にに高い物をマダカアワビ、メガイもマダカも身の質は比較的柔らかく 煮鮑、蒸し鮑に 向いている。また飴色に干した物が中国料理で「明鮑、ミンバオ」と呼ばれて珍重されている。

 

 

神々はアワビがお好きの様です。  
伊勢志摩の国崎では美味しい鮑が取れるから天照大御神が鎮座されたという神話も残っています。

熨斗鮑づくりは、漁師の一線を退いた男たちが生アワビをリンゴの皮をむく要領でのしてゆきます。
七百グラムの鮑で三メートル五十センチ程になるそうです。
のした鮑は天日に干し、飴色になったら包丁で切りそろえるそうです。 
その幅広の物を選び、十枚に束ねると大身取鮑、他、小身取鮑、玉貫鮑という神饌になるそうです。 熨斗鮑は、公家文化と言うよりは 武家文化の範疇に属するのかも知れません。室町時代には祝い事で反物や刀を贈る時 鮑を高盛りにして一緒に届けていたらしいです。  しかし生ではかさばるので鮑を打ちのばし、薄く広げて末広がりに切り重ねて添えるのが礼儀となったらしいです。 敵を討ちのめすと喜ばれ武家社会では打ち鮑が、カチグリ、コンブと共に三種の肴になり、一般化したらしいです。 現代、打ちのめすなど およそ関係ない京都であっても、縁起物として おめでたい席では鮑は欠かせなくなっています。 京都吉兆でも お正月、慶事には、宝珠と一緒に熨斗鮑を使わして頂いております。