四月の京都は桜の都。殊に歴史的建造物を背景に咲き誇る桜は、毎年多くの人々をこの都へと招きます。中でも、二七五、○○○○平方メートルの敷地に形や濃淡もさまざまな桜が百花繚乱の景色を展開する二条城は、そのクライマックスともいうべき場所でしょう。一六○三年に徳川家康が京都御所の守護と将軍上洛の際の宿泊所として造営し、三代目将軍家光が完成させた二条城は、時代を経て大政奉還の舞台となり、大正天皇即位の大典も行われるなど、幾多の歴史の節目が通りすぎていった場所。近世に至るまで造営、造成が繰り返され、その存在感と美しい姿をより際立たせてきました。昭和三十年代から四十年代にかけて行われた桜の植樹は、全国各地の貴重な桜を集め、現在では実に五十種、約三百八十本が咲き誇る、「桜の城」となっています。