往時の粋人が競って求めた絞り毛氈に春の景色を映した道具の数々。目にも麗しい山海の妙味。そして、咲くほどに情趣を増す桜の彩り。それは日本のみならず、世界に誇るべき美の競演。やはり日本が誇る文化を支え、伝えつづける片山家、石原家の皆さんには春の絶景がよく似合います。「二条城の二の丸御殿台所で毎年秋に催しをさせていただいておりますが、桜の季節も素晴らしいですね。林泉や城垣などに映える様々な桜がとても美しく雨の日の風情もなかなかのものです」と清司さん。京都の花見は、ただ自然の美に浸るのではなく、心にある美意識を幾重にも重ね、遊び楽しむもの。宴が絵物語のように華やいで見えたならば花見をする人々の心にも花があるということなのです。