今回、学会によって「自由と解放」の空気がもたらされたことは大きな収穫だったが、これが形となって日本の料理界に表れるのはまだ先の話だ。「理解には時間がかかる。うまく使えるようになるには、さらに時間がかかる」とフェランが言うように、新しい選択肢も伝統的な技術と同様、使いこなせるようになるまでにはそれなりの時間が必要だ。しかし確実に種は撒かれた。たくさんの芽が吹き出した時、日本の料理がもっと世界へ開かれる日がやってくる。
雑誌名:料理通信 2009年3月1日発行 通巻第34号