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新関西笑談 「花鳥風月」in USA (1)

「花鳥風月みな料理なり」。名料亭「吉兆」の創業者、故湯木貞一氏の言葉を守り、国内外で活躍する京都吉兆三代目社長、徳岡邦夫さん(50)。今年11月には、「料理界のハーバード」とも呼ばれるアメリカの料理大学で開かれた料理会議に、チームジャパンの一員として参加した。アメリカ人の目には、日本料理の「花鳥風月」はどのように映ったのだろうか。
(聞き手 真鍋義明)


―今回参加された料理会議とは、どのようなものだったのでしょうか。
徳岡 11月4~6日に、アメリカのカリフォルニア州ナパバレーで開かれた料理の国際会議で、CIAの主催です。
―CIA!
徳岡 といっても情報機関ではないんです(笑)。
『カリナリー・インスティ テュート・オブ・アメリカ』の通称なんですが、アメリカでもっとも権威のある料理大学とされています。ここが毎年、世界の国や地域などをテーマに選び、イベント性のある催しなども盛り込みながら、テーマに沿った料理や食材、その地域の食文化や生活習慣までを学ぼうと開催しているんです。
―今回はなぜ、日本料理が選ばれたのでしょうか
徳岡 実は、3年前に開かれたこの会議で、アジアがテーマになったことがありました。この時に日本料理も含まれていて、私も参加したのですが、一応喜んでいただいたようで。そのときに一緒に参加したメンバーも「今度はぜひジャパンというテーマでやりたいね」と盛り上がっていましたし、CIAプロジェクト日本事務局の尽力で実現しました。
―単独の国がテーマに選ばれるというのは、珍しいのですか
徳岡 非常に珍しいですね。過去にはスペインが選ばれただけです。
―それは鼻が高いですね。徳岡さん以外にはどのような方が参加されたのですか
徳岡 シェフだけで39人が参加しましたが、村田吉弘さん(菊乃井)や高橋義弘さん(瓢亭)のほかフレンチの三國清三さん(オテル・ドゥ・ミクニ)など、京都や日本料理だけでなく、日本を代表するさまざまなジャンルの料理人が参加しました。
―まさにチームジャパン
徳岡 面白いのは、焼き鳥や、くしカツ、ラーメンやお好み焼きを作る方も参加されました。そうしたジャンルも含めて日本料理だということを紹介するためです。
―日本料理を海外に紹介するといえば、懐石やすし、天ぷらというイメージですよね
徳岡 例えば、ラーメンはチャイニーズだけど、日本のラーメンは独特のもの。フレンチやイタリアンだって、日本ならではの料理が生まれている。そうした日本料理の現状を伝えるのも重要なことなんです。

新聞名:産経新聞 2010年12月13日 夕刊 5面右上

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