私が仕事で行ってきたさまざまな挑戦やこれまでの経験を紹介しながら、その作法やサービスについて語った1冊です。読んだ人が、私の「しごとの作法」を土台にして自由に考えてもらえれば良い、という思いで執筆しました。
そういうと、さも偉そうに聞こえるかもしれませんが、私のやってきたことは特別ではないと思うんです。分からないことはその場で聞く、何にでも疑問を持つ、とりあえず行動を起こす。言葉にしてみると、とても簡単です。ただし、それを実践できるかどうかが、分かれ目だと思います。と同時に、目標や目標を達成したときの成果を一緒に考えられていないと、その行動は形として後に残りません。やはり、結果を見据え、真剣に取り組めば、例えそれが失敗であっても次に生きてくることになるのです。生来、そういう考えの持ち主だったかどうかは定かではありませんが、バブル崩壊という世の中の厳しい現実により、このままではいけないという思いを強くしたことは覚えています。世の中の価値が変わった瞬間を体験したこと、それは大きなきっかけでした。だからこそ、それ以後の船場吉兆事件や近年のリーマン・ショックでも危機を乗り越えられてきたのだと思います。
行動を起こすということは、時に摩擦も引き起こします。けれど、摩擦がなければ磨きあげられて輝くこともありません。職場や異業種の人とコミュニケーションを取ることで、自分の考えをブラッシュアップし、最良の方法を考える。そうすることで自分の思いを昇華させていくことができます。 すでに述べたように、行動することが大切なので、この本も、読んでただ考えるだけでは終わらせてほしくありません。途中でもいいので、なにか閃いたときには行動を起こしてほしいですね。言葉やワンセンテンスからでも何か感じとって、行動につなげいただきたいと思います。
雑誌名:販促会議 2月号 123ページ / 刊行元:宣伝会議