八寸とは利休居士が京都洛南の八幡宮の神器からヒントを得て
作ったといわれるもので、そもそもは、八寸角の杉のへぎ木地の
角盆を意味しました。
やがて、それに盛られる酒肴のことを意味するようになり、
現在では献立の名称となっています。
茶事では海のものと山のものを合わせて二種、あるいは三種出す
という決まりごとがありますが、料理屋さんでは吉兆風に盛り、
品数も料理の内容もさまざま。
珍味など、酒肴になりそうな料理が数品彩りよく盛られることが
多いです。
嵐山吉兆では、最近お見え頂く方たちの召し上がる日本酒の量が
減少している事を 感じ取り 皆さんが 楽しんで頂ける様 珍味類は
減塩され化学調味料、他にケミカルなものを含有している物ではなく
本物の珍味を 一工夫して調味料として使う事によって
愛、親しまれる物も お勧めしています。
又、 ワインの種類に あわせて趣向を 工夫させて頂くことにも
トライしております。
茶事の懐石ではもっとも盛り上がりを見せる場面が、この八寸です。
お客さまと亭主の気持ちの やり取りが在るからです。
茶事ではなくとも その思いを ビジュアル的なエネルギーを以て
加え 盛り上がりを得れるようつとめております。
どうぞ感じ取ってください。
献立を起承転結にたとえると、造りが起にあたる最初の山としたら、
八寸はいわば転にあたるクライマックス、宴もたけなわの域に
供されるものといえましょう。
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