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特集日本文化創造プロジェクト嵐山本店 座敷「待幸亭」大改修
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ご挨拶総料理長 徳岡邦夫GREETINGS from executive chef Tokuoka Kunio

京都兆は
“ 日本料理を通じて 世界や未来の人々に必要とされる 日本文化の創造 ” を使命と考えています。

兆」創業100周年に向けて

桜の季節を迎え、春の陽気が心地よい季節になりました。
ようやくマスク生活からも解放され、規制のない生活が戻ってきました。昨年から少しずつイベントやお茶会の開催をしたり、会合にも参加できるようになり、お店には、海外からのお客様もお迎えできるようになりました。
これからは、積極的に様々な活動をしていきたいと思います。生産者の現場にも伺って、地域活性や地域の更なる改善、6次産品開発の活動も再開したいと思っています。調理場には、日々、色々な種類の1次産品を届けていただいていますので、生産の現場や自治体など、行きたい所、行かなければいけない所が沢山あります。

そして、この3月には、嵐山本店の座敷「待幸亭」の改修が完了し、森田りえ子先生の天井画を配した新しいお座敷となりました。このお部屋は、最初の建築は明治元年、嵐山に移築して60年になる書院造の建物で、あらゆる所にこだわりが施されています。この改修を「待幸亭改修プロジェクト」とし、日本文化を守り、継承する職人達の仕事を多くの人に伝え、体感して頂く為のクラウドファンディングを実施し、多くの方に共感して頂き、支援もして頂きました。誠にありがとうございました。お披露目の食事会、お部屋指定のご予約も承っておりますので、ぜひ嵐山に足をお運びになっていただければと思います。

2年前から特別講義のお声がけを頂いている、立命館大学食マネジメント学部の学生さん達とは、生産の現場に行くフィールドワークや味覚についての研究も行なっています。今年は更に、学生さん達と一次産業従事者、自治体、大学の先生方や科学者などをひとつにして、課題を見つけ出し、各企業さんに繋げ、課題解決に向けての取組みをコーディネートしたいと思っています。
また、嵐山の奥、清滝に、京都吉兆が所有している“吉兆山”と呼んでいる土地があり、その開発について話が進み出しています。“吉兆山”は、紅葉の名所であり、深い森と清流が美しく、6月頃には蛍でいっぱいになる場所で、かつては湯木貞一がお茶会や食事会を開いた、松下幸之助氏から譲り受けた茶室があります。しかし、最近はまったく使用しておらず、活用法を模索していました。そこに、共に進める開発計画のご提案がありました。新しい施設を作り、料理を楽しむだけでなく、宿泊も出来る様な施設が出来ればと妄想をしています。 他にも、各地で構想されているIR開発や、都市部での開発事業、観光庁の各地域でのインバウンドやアウトバウンド促進、国際アートフェアのお手伝いなど、公的な案件の相談も頂いています。微力ながらお役に立てる様に頑張りたいと思います。

2030年、私は70歳です。その頃には、10年程前から言い続けている、海水の真水化が実現したり、AIによる自然養殖が可能になったり、高層ビルに、高性能エアコンと葉緑体をミックスさせて、ビルが木の役割を果たし、水を浄化させ、都市が森林の様に機能する事が可能になっているかもしれません。便利なだけでなく、健全で、助け合える世の中になっていて欲しいと思っています。
2030年までまだ7年ある、ではなく、7年しかありません。「京都吉兆は、“日本文化の創造”を使命とし、その事により世界や未来の人々に必要とされる存在になりたい」、この言葉を実現する為に、今年は、様々な事にトライして、新たな発見、成果を上げていきたいと思います。

新しい年度を迎えるにあたり、思いを新たにいたしました。今後も皆様のご期待にそえるよう精進して参ります。
これからも京都吉兆をよろしくお願いいたします。

2023年3月 徳岡邦夫

徳岡邦夫
京都兆 総料理長

1960年生まれ。「兆」創業者湯木貞一氏の孫にあたる。
1980年から本格的に修行を始め、貞一から料理の核心を学ぶ。
1995年から総料理長として現場を指揮し、2009年には株式会社京都兆 代表取締役社長に就任。
2004年頃より海外の料理イベントにも積極的に参加し始め、2008年にはG8(洞爺湖サミット)にて社交晩餐会を担当。
国内では、地域活性化や第一次産業の現場における様々な課題解決に取り組み、現在、文化産業科学学会・名誉理事や東京農業大学・客員教授も務める。
伝統を守りながらも時代に即した食への多方面からのアプローチに挑戦し続け、日本料理に多彩な演出、提案を行い、日本食の啓発に尽力する。

詳しい経歴<経歴>

2004年 イタリアにてスローフード協会主催 “食の祭典”「サローネ・デル・グスト」へ参加(2006年にも参加)
2005年 スペインにて「マドリッド・フュージョン」へ参加
2007年 アメリカ・カリフォルニアにてCIAによる料理会議「THE RISE OF ASIA」へ参加(2008年にも参加)
2008年 NPO団体 ジェームス・ビアード財団より日本人初の「ジェームズ・ビアード・アワード」に選ばれる
北海道・洞爺湖で開催された首脳サミットG8にて社交晩餐会を担当
2009年 株式会社京都兆 社長就任
「世界料理サミット2009 TOKYO TASTE」に日本代表として参加
京丹後市専門委員(政策企画委員)就任
イギリス・ロンドンにて 「うま味サミット in ロンドン」へ参加
『ミシュランガイド 京都・大阪』にて嵐山本店 三つ星・HANA兆 一つ星評価(以降現在に至るまで12年連続同評価)
2010年 アメリカ・カリフォルニアにてCIAによる料理会議「World of Flavor Conference &Festival」へ参加
2012年 『ミシュランガイド北海道 特別版』にて洞爺湖店 二つ星 評価(2017年特別版でも同評価)
2013年 アメリカ・カリフォルニアにてCIAによる料理会議「World of Flavor Conference 2013」へ参加
2015年 イタリア・ミラノ万博に参加
国際連合食糧農業機関 (FAO) の依頼によりイタリアにて特別講演を行う
文化産業科学学会 名誉理事就任
2016年 シャンパーニュ騎士団 第7回叙任式典にてオフィシェ受章
東京農業大学 客員教授就任
みえの食国際大使に就任
2019年 『ミシュランガイド愛知・岐阜・三重 特別版』にて名古屋店 一つ星 評価
農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」第4回シルバー賞 受賞

著書のご紹介<著書>

2007年 「春の食卓」(バジリコ)/「夏の食卓」(バジリコ)/「秋の食卓」(バジリコ)/「冬の食卓」(バジリコ)
2009年 「嵐山兆 男子の台所」(バジリコ)
「おいしい野菜の見分け方」(バジリコ)※ 環境保全型農業の第一人者、西村和夫氏と共著
2010年 「京都兆」(講談社インターナショナル) /「KITCHO」(講談社インターナショナル) ※「京都兆」 英文版
「花鳥風月みな料理なり」(学生社)
「京都兆 仕事の作法」(PHP研究所)
「酒のつまみ」(文藝春秋)
「文庫版 四季の食卓」(文藝春秋)
2013年 「料亭「兆」を一代で築き、日本料理と茶の湯に命を懸けた祖父・湯木貞一の背中を見て、孫の徳岡邦夫は何を学んだのか」(淡交社)

京都吉兆について沿革・歴史