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ご挨拶総料理長 徳岡邦夫GREETINGS from executive chef Tokuoka Kunio

京都兆は
“ 日本料理を通じて 世界や未来の人々に必要とされる 日本文化の創造 ” を使命と考えています。

皆様の日頃よりのご愛顧に心から感謝申し上げます。

昨年、2024年あたりから、京都だけでなく、東京や各地域でも海外の方を、コロナ禍以前より更に多く見かけるようになりました。京都吉兆の店舗でも、連日のように海外のお客様をお迎えしています。
私も、このところイベントが多く、海外出張をしたり、海外のシェフや食関係者との交流が多くなりました。

その環境で実感するのは、世界の人々が、コロナ蔓延終息後、更に健康について改めて深く考え、実践するようになっている事です。
元気になれる食。
美容に良い食――。
長生きする為には、更に脂分を控え、ミネラルバランスを取りながらも美味しくすること。
うま味や発酵、腸内環境改善、たんぱく質の変性と食感、炭火焼きなど、日本的な価値観で食環境を整えた料理を、世界中のトップシェフ達が提供し、お客様はそれを求めているようにみえます。

“日本的な美味しい料理”=素材重視で油脂が少なく、魚や野菜中心で、健全な“うま味”を取り入れた美味しい料理を、日本人だけでなく、世界の人々が求めています。
日本料理だけでなく、“日本料理的な食”が注目され、受け入れられているのです。醤油や柚子など、トレンドとして日本の食材や食品を使うのではなく、発酵食品が身体に良い事や、“うま味”についても興味を持ち、理解して取り入れています。日本的にアシンメトリーに草花を使って、華やかに料理を盛り付ける世界のスターシェフも沢山います。

2024年秋のイタリア食科学大学でのイベントでは、これからの世界の食をリードする学生達と色々話し、盛り上がりました。食専門大学なので、様々な料理について学んでいますが、どの国の料理よりも日本の食に対する興味の高さを感じました。
また10月には、「NOMA」のレネ・レゼピ-シェフの最新の料理会にて再会し、後日、京都吉兆で、食事をしながら共に語り合いました。そして、元ドンペリニヨンの最高醸造責任者、リシャール・ジョフロワ氏とは、彼が造る日本酒「IWA 5」のコラボイベントを実施しました。勿論、酒蔵倉にもお邪魔し、じっくり語り合いました。
レネ-シェフもジョフロワ氏も、世界マーケットが求めているコトやモノをしっかりと理解しながら、日本的価値の本質を深く掘り下げ、それを知る為に直向き(ひたむき)に研鑽、体験し尽くした結果を、自らの価値観と融合させて表現しています。
一次産業の現場や日本の食の背景をも理解して、日本人も含めた世界の人々をターゲットに、プレゼンテーションしている事にとても共感しています。

私がまだ修行時代、25歳の頃、貞一翁と共に参加したパーティで、時の総理から対面で話をして頂く機会がありました。その際、「日本が今、世界に発信すべきものは何かわかるかね? それは日本の文化だ。君はそのど真ん中に居るのだから、心して修行しなさい」と言われた事を改めて思い出しました。

今、日本の食に向けられている熱視線を実感しています。進化する価値観に適応する料理の表現、それこそが、「日本文化の創造」で、その工程と結果を世界に発信する事の大切さを痛感しています。

2025年は、湯木貞一が「𠮷兆」を創業して95年になります。
貞一翁の言葉であり、吉兆の信条でもある「世界の名物 日本料理」が、現実となろうとしています。
そんな今、京都吉兆は、“食を通して日本文化の創造”を使命とし、スタッフの皆さんと共に協力し、努力し続けられる環境を築けている事がありがたく思います。皆が共に同じ方向を見ることで、ネットワークが徐々に広がってきている様にも感じています。
これからもスタッフ一同、一丸となって精進して参ります。
よろしくお願い申し上げます。

2025年5月 徳岡邦夫

徳岡邦夫
京都兆 総料理長

1960年生まれ。「兆」創業者湯木貞一氏の孫にあたる。
1980年から本格的に修行を始め、貞一から料理の核心を学ぶ。
1995年から総料理長として現場を指揮し、2009年には株式会社京都兆 代表取締役社長に就任。
2004年頃より海外の料理イベントにも積極的に参加し始め、2008年にはG8(洞爺湖サミット)にて社交晩餐会を担当。
国内では、地域活性化や第一次産業の現場における様々な課題解決に取り組み、現在、文化産業科学学会・名誉理事や東京農業大学・客員教授も務める。
伝統を守りながらも時代に即した食への多方面からのアプローチに挑戦し続け、日本料理に多彩な演出、提案を行い、日本食の啓発に尽力する。

詳しい経歴<経歴>

2004年 イタリアにてスローフード協会主催 “食の祭典”「サローネ・デル・グスト」へ参加(2006年にも参加)
2005年 スペインにて「マドリッド・フュージョン」へ参加
2007年 アメリカ・カリフォルニアにてCIAによる料理会議「THE RISE OF ASIA」へ参加(2008年にも参加)
2008年 NPO団体 ジェームス・ビアード財団より日本人初の「ジェームズ・ビアード・アワード」に選ばれる
北海道・洞爺湖で開催された首脳サミットG8にて社交晩餐会を担当
2009年 株式会社京都兆 社長就任
「世界料理サミット2009 TOKYO TASTE」に日本代表として参加
京丹後市専門委員(政策企画委員)就任
イギリス・ロンドンにて 「うま味サミット in ロンドン」へ参加
『ミシュランガイド 京都・大阪』にて嵐山本店 三つ星・HANA兆 一つ星評価
2010年 アメリカ・カリフォルニアにてCIAによる料理会議「World of Flavor Conference &Festival」へ参加
2012年 『ミシュランガイド北海道 特別版』にて洞爺湖店 二つ星 評価(2017年特別版でも同評価)
2013年 アメリカ・カリフォルニアにてCIAによる料理会議「World of Flavor Conference 2013」へ参加
2015年 イタリア・ミラノ万博に参加
国際連合食糧農業機関 (FAO) の依頼によりイタリアにて特別講演を行う
文化産業科学学会 名誉理事就任
2016年 シャンパーニュ騎士団 第7回叙任式典にてオフィシェ受章
東京農業大学 客員教授就任
みえの食国際大使に就任
2019年 『ミシュランガイド愛知・岐阜・三重 特別版』にて名古屋店 一つ星 評価
農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」第4回シルバー賞 受賞
2024年 農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」第4回ゴールド賞 受賞

著書のご紹介<著書>

2007年 「春の食卓」(バジリコ)/「夏の食卓」(バジリコ)/「秋の食卓」(バジリコ)/「冬の食卓」(バジリコ)
2009年 「嵐山兆 男子の台所」(バジリコ)
「おいしい野菜の見分け方」(バジリコ)※ 環境保全型農業の第一人者、西村和夫氏と共著
2010年 「京都兆」(講談社インターナショナル) /「KITCHO」(講談社インターナショナル) ※「京都兆」 英文版
「花鳥風月みな料理なり」(学生社)
「京都兆 仕事の作法」(PHP研究所)
「酒のつまみ」(文藝春秋)
「文庫版 四季の食卓」(文藝春秋)
2013年 「料亭「兆」を一代で築き、日本料理と茶の湯に命を懸けた祖父・湯木貞一の背中を見て、孫の徳岡邦夫は何を学んだのか」(淡交社)

京都吉兆について沿革・歴史