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特集日本文化創造プロジェクト嵐山本店 座敷「待幸亭」大改修
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総料理長 徳岡邦夫 コラムCOLUMN from executive chef Tokuoka Kunio

2024.07.23

令和6年 初夏 「吉兆茶会」

2024年初夏「吉兆茶会」を開催しました。
吉兆マインドを、お客様と共に再確認する機会になりました。

京都吉兆では、定期的に嵐山本店で、大寄せの茶会を開催しています。

10年目の今年は、6月8・9・11日の3日間行い、総勢160人余の方に、お手前をさせて頂き、お食事を提供し、“茶事”の雰囲気を体験して楽しんで頂けたと思います。

京都吉兆の料理が、茶懐石を基礎としている事を改めて振り返り、茶道具の由来や伝来等を感じ取り、お客様に披露する事で、その様な感覚を共感することが出来ました。


スタッフの提案で始まり、今では年に1、2回開催している「吉兆茶会」。
今回のお茶会は、濃茶席を私が、薄茶席を女将がお手前をさせて頂きました。

寄付きにて、主菓子。
本席で濃茶。
薄茶席にて、干菓子、薄茶。
点心席にて料理。という流れです。

濃茶席には、昨年、待幸亭の天井画を描いて頂いた森田りえ子先生に、天井画と同じ流水の記念画を頂き、「雪花水月」の文字を加えた風炉先屏風に仕立てたものを設えました。
それが、ある意味メインなので、床の間は、身内の吉兆創業者 湯木貞一の「風颯々水冷々」。

この風炉先の文字は、表千家のお家元に書いて頂き、この言葉は、私が考えさせて頂きました。
雪は冬、花は春、水は夏、月は秋を表し、それは人の一生ともリンクしています。
若い頃は、我を通そうとするので、厳しく辛い体験もするでしょう。
次第に、バランスが取れ認められ、熱い想いも生まれ、楽しい事が増え、人生後半は充実した日々を送り、しみじみとした老後を迎えるーー。人生も、下積みや失敗など、厳しい冬の時代がないといけないと思ったので、最初に雪をもってきました。

釜は、芦屋釜、風呂は、大西清右衛門-初代-浄林。
水指は、大正の頃のモノを復興させて、アレンジを加え、バカラの刻印と共に吉兆の刻印を入れてもらったバカラ製にしました。

茶碗、一入樂4代、「浮舟」
茶入、織部、「柿渋くすり」、清巌箱書
茶杓、啐啄斎、「黒木」。

脇床には、
野々宮黒木鳥居の硯箱を。
NHKドラマにちなんで、源氏物語を切口に。

薄茶の席には、待幸亭の古い天井板に燻した銀枠を施し現代アート風に仕上げて、古銅花入と共に床に飾り、釜は、燻し色が美しい純銀の茶瓶を使いました。
茶碗は、魯山人の黒織部や、永楽即全-等々。

今回は1日4席、3日間のお茶席でしたので、終わった頃は足がガクガクで、さすがに疲れましたが、いい経験でした。
吉兆マインド、湯木貞一マインドを改めて考え、皆さんにお伝えする事が出来ていましたら幸いです。
また、スタッフにとっては、リアルにお茶を学べる良い機会となったと思います。

次回開催の詳細が決まりましたら、またお知らせさせて頂きます。