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総料理長 徳岡邦夫 コラム
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総料理長 徳岡邦夫 コラムCOLUMN from executive chef Tokuoka Kunio

2026.10.13

吉兆米

「吉兆」の創業者で、私の祖父でもある湯木貞一は、”茶の湯”との出合いにより、人生観を好転させ、”茶事”の流れの一部である”懐石”を体験する事によって、自身が役に立ち輝ける場所を見つけ、可能性を無心に突き詰める中、料理を一生の仕事と定めた人でした。
そんな祖父がお茶事の中でもっとも大事にしていたのが、白御飯の炊き方とその提供の仕方です。

食の基本と、最高の料理は家庭にあると言う事を信条にしていた祖父は、お米こそ日本人にとって、また日本料理にとって、一番大切な要であると捉えていたのでしょう。

白御飯に並々ならぬ心血を注ぐ祖父の仕事を傍らで手伝いながら、私は茶の湯の在り方や、しつらえの大切さ、日本料理の真髄を学びました。

実際、お茶事で出される白御飯は、筆舌に尽くしがたいほど美味しいのです。
1985年頃、長期間開催された湯木貞一の茶会の手伝いをしていて、お膳だしの時に、四ツ椀にて提供する、ジタ飯の加減を、貞一翁から直接、何度も怒られた記憶があります。
程よく炊き上がった時のジタ飯の美味しさは、忘れる事がありません。
あぁ、これを求めていたのか!!と、納得しました。

お米の粒に心持ち芯が残り、表面にたっぷりと水分が纏わり付き、つやつやと輝くアルデンテな状態で炊き上がります。
それをしゃもじで掬ってお碗に移すと、すっと落ちる。「切り飯」というのは、本来こうした御飯の事を言うのですが、このアルデンテの御飯は、その美味しさが長続きしません。
だからこそ、炊き上がりのもっとも美味しい、絶妙なタイミングで招客にお出しする事は大変難しく、お茶事では、最も大切に考えられています。少なくとも、湯木貞一は、その瞬間を凄く厳しく求めていました。

茶の湯の喫茶をメインにした正式な茶会を”茶事”と言い、”茶事”の中で、お茶を美味しく召し上がって頂く為に提供される簡素な食事を”懐石”と言います。
京都吉兆で、普段、提供される料理は、”茶の湯”や”茶事”、”懐石”の要素や考え方、感覚は、湯木貞一の頃から取り入れていますが、”懐石”の形式や流れでは、料理を提供されません。
それは、湯木貞一が考え抜き、改善し尽くした「吉兆の日本料理」です。
現在、京都吉兆で提供されている日本料理は、世界との接点を沢山経験して、更に改善を尽くした「京都吉兆料理」に、仕上がっています。
その京都吉兆の日本料理では、締めが御飯料理となっており、この御飯がとても重要だと、私は考えています。
またそれは、湯木貞一が求めていたジタ飯ではなく、程よく炊き上がった煮えばな状態の一瞬なのです。

それは、最後の料理である御飯を食べて、心の底から満足して頂いてこそ、「今日の料理は美味しかった」と、思い出として持ち帰って頂けると考えるからです。
そして京都吉兆では、締めの季節の御飯料理の後に、更に炊き立ての白御飯を提供します。
この白御飯には、京都吉兆がどれだけ食に対して純粋に突き詰め、存在意義を考え抜き積み重ねて来たのか、その真摯な思いが詰まっている事が、感覚的に分かりやすく表現出来ているからです。

コースの初めに提供される料理も、お客様の心を先ず掴む為に凄く大切ですし、味の基本は、お椀やお造りです。
ビジュアルや多様性と言う意味では、八寸は、凄く大切です。
また、その季節の食材の味や風味を凝縮して提供される焼物や煮物も無くてはならないものです。
違う角度から熟慮すると、お客様は、御一緒に来られる方々と、更に仲良くなりたいと思い、京都吉兆においで頂いています。
その媒体、仲を取り持つのが、私共の料理やサービスです。
お客様同士は、更に、仲良くなりたいと、いろんなお話をされるのがメインですので、料理の事は、まるっきり覚えてられない方もいるでしょう。
その時に、席中のお客様が共に、少しでも料理の印象が残る事があれば、お客様同士の御縁も、何度も思い起こされて、深くなるのだと考えています。
だからこそ、最後に提供される御飯は大事なのです。

各地で新米が出揃う10月に入ると、京都吉兆では、これから1年使用する米の食味会を実施します。
全国各地の厳選された約20の生産者さんからお米を送ってもらい、同じ条件で炊いた御飯を、ブラインドで試食し、最も良いと判断したお米を「吉兆米」と呼び、その生産者さんと1年契約を結びます。
同じ生産者さんのお米でも、その年の気候や産地のコンディションで作柄に差が出来るので、毎年食味会を行って、米の確認、選定をしています。

この秋より、ライトアップショッピングクラブ様にて、この「吉兆米」を使った京都吉兆オリジナルの御飯料理の頒布会を実施する事になりました。
すき焼き丼、親子丼、湯葉御飯、鰻御飯など、定番の肉御飯を2食と、その月の季節の御飯を2食の、毎月4食をセットにして、冷凍便にてお届けいたします。
具材たっぷりの丼ものや出汁の効いた餡かけやたれで楽しむ御飯もあり、味わい様々に全16種をご用意しました。
“吉兆ならでは”の逸品ばかりです。
ぜひご賞味くださいませ。

ライトアップショッピングクラブ  商品ページはこちら
https://lightup.sc/073147
お申込み締切日:2026年10月31日(土)
お届け開始日:2026年11月下旬よりお届け開始

ライトアップショッピングクラブ TOPページはこちら
https://lightup.sc/top_2610

御飯釜 白御飯