2026.06.01
京都の夏に欠かせない食材が、鱧です。
鱧は、6月〜10月までと、旬が長く、「梅雨の水を飲んで美味しくなる」とも言われ、6~7月の産卵前が、一番良く使われます。
実際に、7月に開かれる祇園祭も別名「鱧祭り」と言われ、夏に合わせた美味しい食べ方が発展してきました。
鱧は、もう一度、9月から10月に、かけてどんどん美味しくなります。
この時期の鱧は産卵を終えて食欲が増し、身の質も良く脂がのっています。この頃の方が美味しく本当の旬は、10月なのかもしれません。
そんな事もあり、暑い祇園祭の頃は、あっさりと。
10月になると、脂がのり濃厚な味わいを、松茸と共に楽しみます。
京都市内、洛中は海から遠く、昔は流通システムが未発達だったので、新鮮な海の幸とは無縁の地でした。
しかし、瀬戸内で揚がった鱧は、一昼夜かけて京都に運んでもまだ生きていたのです。その生命力にプラスして、白身のうま味と脂肪分が一体となったコク深い底味が、魅力です。
京都人にとっては、暑さをしのいで、元気に過ごす為の、かけがえのない食材だったのだと思います。
もしかしたら、夏の暑い時期には、生命力の強い鱧しか持ってくる事が出来ない事から「鱧は夏が旬である」と言う昔の人達が考えたマーケティング戦略だったかもしれません。
鱧は小骨が多いのが特徴です。
1本ずつ抜くのはとても無理なので、3枚におろしたあと皮を下にして、1ミリ弱の間隔で身に包丁を入れて骨を切っていきます。
包丁を入れる深さは皮の際まで、慣れないとつい皮まで切ってしまうので、料理人の技が問われます。
鱧を使った料理といえば、「鱧寿司」、「鱧鍋」、「鱧の落とし」など、色々ありますが、京都吉兆オリジナルとも言えるのが、「鱧のぬくぬく落とし」です。
通常の”落とし”は、鱧を熱湯で茹でたあと、氷水につけ、その冷たさから涼しさを、味わう昔ながらの伝統料理なのですが、しかし、氷水につけて、冷たくする為にしばらく置くと、皮が固くなって、ゴムの様な食感になってしまいます。
冷たさよりも、とろんとした皮のおいしさを味わってもらおうと、沸かした昆布出汁で程よく湯がいて、温かいままの“落とし”にしたのが「鱧のぬくぬく落とし」です。
身のふわりとした柔らかさもさることながら、一味違った皮のおいしさも楽しめます。
湯木貞一翁が亡くなる直前まで遂行していた様に、伝統料理に対しても固定概念を抱かず、どうしたらもっと美味しくなるかを研究する中での発見でした。
また、鱧は、皮目から先に、しっかりと火を通し、皮に火が通ったところで、全体を、さっと熱湯に潜らせ、骨切りした身が花咲いた様に開いたら、直ぐに食べ頃、と言われますが、京都吉兆の「鱧鍋」は、特大の鱧を使っている事もあり、さっとではなく、出汁スープに1分ほど火を通す事をお勧めしています。
その方が、身、皮にも出汁を吸い、美味しい下味が付いた上に、身もふんわりし、鱧のうま味や甘味も増すからです。
今年も鱧の季節がやってきました。
貞一翁の想いを形にするべく、6月から、店舗では「鱧のぬくぬく落とし」をお出ししています。
また、お取り寄せ料理では、例年のごとく、「鱧と鰻の養生寿司」「鱧の鶏汐出汁しゃぶ」「鱧と松茸の濃い出汁しゃぶ」と、更に、新しく「鱧の出汁しゃぶ 雲丹玉子だれ付Ver.」も加わり、様々な味わいの料理をご用意しています。
京都の夏から秋にかけての美味を、是非、ご家族やお仲間と、火の通し加減等を語らいながら楽しい時間を、お過ごしくださいませ。
オンラインストア「京都吉兆の贈りもの」
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