Menu

特集日本文化創造プロジェクト嵐山本店 座敷「待幸亭」大改修
ご来店予約 オンラインストア

Page Top

総料理長 徳岡邦夫 コラムCOLUMN from executive chef Tokuoka Kunio

2023.07.05

HANA吉兆 「新茶の会」

新茶の時季の恒例企画「新茶の会」が、先日行われました。この食事会は、HANA吉兆と京都の老舗茶舗「一保堂」さんとの企画で、当日は私も参加しいろいろお話しさせて頂きました。
「日本料理なのだから、日本茶と相性がいいのは当たり前」と思うのは当然ですが、日本茶にもさまざまな種類があり、淹れ方、飲み方があり、温度の違いで味・香り・食感などの感じ方が変わり、実際試してみると、料理との相性も異なってきます。

今回の食事会に先立ち、一保堂さんのスタッフと試食会を行い、食材や調理法などを確認しながら、どんな御茶が合うか相談し献立を作り上げました。それぞれの料理に、それぞれの御茶を合わせる、日本茶ペアリングです。御茶は、うま味と苦味のバランスが、凄く大切だと思います。

今年の新茶は、凄くうま味が強く、当初、初めの料理には少し苦味を感じ取れる温かい御茶でお出しする予定でしたが、蛸湯引き・トマト・土佐酢ゼリーの組合せには、温かいとちょっと苦味が気になる。そこで向付には新茶を水出しにて提供する事にしました。初めの一口に、お客様から歓声が上がりました。

お椀には、出汁のうま味と相乗効果を醸し出し、御茶のうま味を感じてもらえる、「水出し玉露甘露」が、ピッタリはまりました。
お造り代わりの石焼は、八寸の様に、御茶の木を活け込む演出で提供しました。

熱湯でサッと淹れた「玉露-萬徳」が、薬味の生姜や胡麻昆布、ちり酢などともマッチして、皆様、夢中になり、無言でいろんな組合せを試していらっしゃいました。
鱧や雲丹を盛り込んだ八寸には、一保堂さん一押しの温かい煎茶「芳泉」を。
鮎の塩焼きは、鮎の苦味と日本茶の苦味が温かい新茶と好相性でした。
湯葉と冷たい野菜の炊き合わせには、甘味がありちょっとスパイシーな香りがする「茎煎茶」の水出しを合わせました。

8品の料理と7種類のお茶のマリアージュ。リピーターのお客様から、毎回新しい発見と味わいがある、と好評で目を輝かせて楽しんでおられました。

“素敵な御茶”の基準ですが、冷茶仕立ては、全体的に味や香りは、控えめになりますが、淹れ方の工夫によって、うま味を出しながら苦味を抑えてくれます。冷たく口当たりが良くなりスムーズで、料理に寄り添ってくれる気がします。温かい御茶は、香がよく、うま味や苦味、渋さが、脂の乗った魚やお肉、焼物、揚げ物、などの料理を引き立てて、相乗効果を醸し出すと思います。

ワインや日本酒も素晴らしいですが、日本茶とのペアリングは、まだまだ確立した基準がないので、前の料理に出てきた御茶と合わせたり、自分でいろいろ工夫し、試したりして、お客様も無限に広がる可能性を存分に楽しまれていました。

一保堂さんには、素晴らしい御茶を提供して頂き、いろんな提案を頂けて感謝しています。ご協力ありがとうございました。

HANA吉兆では、イベント期間中以外でも、日本茶とのペアリング料理を、ご用意させて頂きます。
日本茶の奥深さを体験できると思います。要予約にて承りますので、お問い合わせください。


HANA吉兆
TEL:075-531-1500[11:00-15:30|水曜定休 *臨時休業あり]
日本茶ペアリング懐石のご予約はこちら