2026.04.01
2030年には、創業100周年を迎える吉兆。今までにいろいろな取組みをしてきました。
例えば、2010年、イタリアの名窯「リチャードジノリ(現在は「ジノリ1735」)」さんに、京都吉兆が所蔵している江戸時代初期に作られた「古染付」の器の復刻をお願いし、ルネサンス的な想いを込めたコラボ食器を製作しました。
下記は、その時のジノリさんのプレスリリースの一文です。
☆☆☆☆☆
京都吉兆 初代より愛用されてきたリチャードジノリの陶磁器、そして現在もその歴史と伝統を繋いでいる両老舗による、本質を極めた和洋融合コラボレーションを目指します。
和の器として 吉兆がその歴史の中で繋ぎ 守ってきたコレクションの中から精選した”古染付”を基とした器をリチャードジノリが誂えます。
和の真髄として君臨する京都吉兆、その体現である徳岡邦夫氏。
世界的陶磁器ブランドとしての伝統、技術、芸術性を具現するリチャードジノリ。
最も重要な器としての信頼性、その磁器に「吉兆」「RichrdGinori」 とダブルネームで、古染付けを復刻いたします。
和とイタリアの命が吹き込まれた器は 吉兆 嵐山で使用され、また徳岡氏の国際的かつ幅広い活動により広く世界で発信されることでしょう。
☆☆☆☆☆
古染付は、中国の明末(1620年代〜1644年)景徳鎮の民窯で作られた染付磁器で、日本の茶人に喜ばれ、日本からの注文で主に作られた染付陶器の事です。
「古染付」の「古」は単に古いと言う事ではなく、古い時代の一時期、日本に輸入された中国製の焼物などを指す言葉です。
日本好みに、濃青な発色をうまく使い、自由奔放な筆致で、山水画や花鳥画、動物などが描かれているのが特徴で、円形の大皿や小皿が多くみられますが、中には個性的な形の物もあります。
大半の丸型皿の縁は、「虫喰」と称されました。丸形皿の縁が薄く、焼成時に釉薬が剥がれて点々とした欠けが生じた部分を、虫に食われた跡と見立てた物は、日本的な価値観として鑑賞の対象にもなっています。
また、皿の底には、ザラザラした砂や土がこびりついている事が非常に多いです。
それは、焼成時に、器を直接窯の床に置かず、砂の上や耐火土でできた「サヤ(容器)」に入れて焼いた為に、その砂が釉薬のない畳付き部分に溶着したものなのです。
ジノリさんには、そう言った細かな特徴も再現して欲しいと伝え、叶わなければ、やり直しもしてもらいました。
コラボの器は、一客、一客の形状が違い、歪みもあります。絵付けは、5種類ほどのサンプルがあるのですが、手描きなので、1つ1つ微妙に個体差があり、いわゆる工業製品で作られる様に、どれも同じではない所が、“日本的な美”を表現しています。
完成させる為の工程では、懸命に作って頂いたモノであっても、私のイメージに沿わない皿は、一つ一つチェックしてはじき、やり直しを繰り返して頂いたので、ジノリさんと話を始めてから完成まで5年もかかった、こだわりの器です。
ジノリさんは、1735年創業で、それ以前に存在した古染付を磁器を手本として、基礎を造り上げた会社だそうです。
ジノリさんの美術館兼資料館には、展覧が始まるところに古染付の破片が展示されていました。
当初、ジノリの経営陣は、無謀なプロジェクトだと言い、反対されていました。しかし私は、経営陣だけではなく、工房の職人さん達にも集まって頂き、江戸時代初期に作られた本物の古染付皿を目の前に置いて、このプロジェクトを遂行する事は、ルネサンス=技術復興にも繋がる、とプロジェクトの効果や意味合いを熱く話しました。
すると、その話を聞いた職人さん達の目が輝き、情熱がほとばしるのが伝わり、この企画が一気に走り出したのを覚えています。
そんなやり取りがあったお陰で、このプロジェクトが実現し、古染付の復刻が出来たのです。
限定300枚作って頂いたコラボ器は、一部、京都吉兆の店舗で使用していますが、「婦人画報のお取り寄せ」サイトで購入可能です。
製造から15年以上が経ち、更に、味が出てきました。
まずはサイトをチェックしてみてください。
▼婦人画報のお取り寄せ
https://shop.fujingaho.jp/shop/g/g703F-163/

(左)京都吉兆が所有する、江戸時代初期に造られた古染付の器。400年以前の器を幾枚も積み重ね、「歴史の積み重ね」を感じ取って頂き、その上に、「今」摘みたての”さや豌豆”の花付き穂先を飾り、写真に収める事で、時を超えた融合を表現しました。
(中央・右)ジノリさんとのコラボで、時空だけではなく、地域も越えた融合が叶いました。