2026.08.07
艶があり形も綺麗で、とろける食感の茄子、瑞々しく、うま味の濃いトマト、色鮮やかなオクラーー。
これらの夏野菜を届けて下さっているのが、「長澤農園」の長澤さん。
京都の太秦で17代続く農家さんで、1980年代後半、ご自身が農薬で体調を崩された経験から無農薬有機栽培へ転換されました。
当時は「無農薬」や「有機栽培」という言葉さえ一般的ではなく、土作りだけでも何年も要するなど、試行錯誤の連続だったそうです。
また、農薬や殺虫剤も使わないので虫が寄ってきます。
虫が、葉っぱや収穫物を傷つける事で、収穫量は減ります。更に、その被害は、農薬や殺虫剤を使用している近隣農家にも及ぶので、近隣農家からの風当たりが強く、収穫量が減ると実入りも減るので家族からも嫌がられ、長澤さんは、ひとりで、多くの苦労に立ち向かっていたそうです。
長澤さんとの出会いは、私が東京や大阪での修行後、嵐山店に戻ってきてから8年後、総料理長に就任した1995年頃でした。
デフレ経済が始まり、このままでは駄目で、今までとは違う発想をしないといけないと考え、調理の技術、調味料、表現だけでなく、隅々、全ての素材の健全さやクオリティの高さを求める事がもっと必要で、大事なのではないか?と、改めて、扱う全ての食材について見直しを始めていた時でした。
野菜については、無農薬有機栽培のものを探したのですが、無農薬有機栽培と謳っていても、よく聞くと基準値以下ですが農薬や殺虫剤も使用していたり、化学肥料は使用しているという農家さんも多く、とても曖昧だったのです。
それでも京都で無農薬有機栽培をしている人を探して、探して、探し当てたのが長澤さんでした。
当時は、他の農家さんとも交流もなく、なかなか頑固な方でしたので、最初は話も聞いてくれませんでしたが、何度も通いやっと野菜を頂き、食べさせてもらうと、これがものすごくピュアーで美味しい!!
これだ!と思い、今までの取引していた野菜と比較試食して、長澤さんの野菜が、どれだけピュアーで美味しいのかと言う事を、お伝えして、喜んで頂き、取引をさせてもらう様になりました。
しばらく経って、お店に来て頂き、長澤野菜の料理を食べてもらいました。
すると「自分の野菜がこんなに美味しくなる!?」と感激されたと同時に、無農薬有機栽培をしているだけでは駄目で、野菜は、美味しくなくてはいけないと意識を変えられた様で、それ以降、美味しくなる為の、いろんな工夫をして頂いています。
美味しい野菜は、あらゆるバランスが整っていて、形や色も綺麗になると言う事です。
そういう野菜しか卸してもらえない程、頑固になってしまって、困る事もあったりします。
現在も、更に美味しく素晴らしい野菜を京都吉兆に届けて頂いています。
現在、天然由来の農薬や肥料を使用する農法は、有機栽培(オーガニック)と呼ばれ、第三者機関の認証(有機JASマーク)があります。
その認証が始まったのが2001年で、当時多くの農家さんが申請をされましたが、2001年の初年度に基準をクリアし認定されたのは、長澤さんだけでした。
長年、地道に真摯に野菜に向き合った事が、数値に表れ認められた、と二人で喜んだのを覚えています。
その後、2006年には、イタリア、トリノで行われたスローフードのイベントに一緒に参加して頂きました。
最初は、慣れないプレゼンでモジモジされていましたが、反応の良さに開眼!
後半は、通訳の方が困る程、一人で喋りまくっていました!笑 それくらい、野菜作りに熱い人で、帰国後も、スローフードの京都支部に入会頂き、喋りまくっていました。
更に! もっと野菜作りや無農薬栽培を突き詰めたいと、大学で深く学び、数年後には講師までする様になり、今では、京北町にて、大学の圃場でも指導されています。
その後、後継者も育ち、それぞれの農家さんとも、取引をさせて頂いています。
現在は70歳を過ぎ、息子さんと共に、畑作業もしながら、次世代の為に、有機栽培を大規模経営できるビジネスにする為の活動を行われています。
その後、全ての食材や調味料など、関係者の輪がどんどん広がっています。
今、現在、この様な原稿を書いたり、取材でお話をする時、「無農薬」という言葉を使う事が難しい現実があります。
実は、無農薬栽培は、農家全体を守る為なのか、今も規定が無く、第三者機関の認定制度も作られていないです。
消費者に誤解を招くとして「無農薬」だけでなく、「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」と言う表現さえ使えないのが現状です。
「無添加」と言う言葉も、同様に使えないでいます。
「無農薬」「有機栽培」「無添加」であれば、美味しい訳ではありません。表記出来ませんが、こだわっていきたいと考えています。
長澤さんが育てる野菜は、JAS認定を受けた有機野菜で、無農薬栽培です。
夏は勿論の事、冬には蕪や九条ねぎ、菊菜など、四季を通じて本当に美味しい野菜を提供頂いています。
JAS認定を取らずに、無農薬有機栽培の美味しい野菜を作られている方々も居ます。
ちょうど今の季節、「京都吉兆の贈りもの」サイトの取り寄せ料理では、「鰻の夏すき鍋」や「鮑の濃い出汁しゃぶ」、「鱧の鶏汐出汁しゃぶ」などの鍋料理に、焼き茄子やオクラ、トマトを合わせてお届けしています。
メイン食材だけでなく、野菜そのものが持つ、力強く濃い味わいもぜひご賞味くださいませ。
オンラインストア「京都吉兆の贈りもの」 料亭直送料理の詳細・ご購入はこちら
https://shop.kyoto-kitcho.com/page/ryotei
