2006.04.18
まず、タンパク質というものは、アミノ酸がじゅじゅ玉のように連結してできた高分子で、通常、特別な立体構造を保っていると教えて頂きました。
立体構造は、アミノ酸とアミノ酸の間に働く水素結合という力が働いているから保っているそうです。
熱を加えていくと水素結合が切断されるそうです。水素結合が切断されると立体構造が崩れていく、と理解する事がよさそうです。この立体構造の変形を「タンパク質の変性」と言うそうです。
変性によってタンパク質の立体構造が崩れると、高分子の内部に折りたたまれていた部分が表面に露出し、このような部分は水との親和性が低いので、この部分を介してタンパク質同士がくっつきあって凝集していくそうです。
これが凝固(固まる)という現象なんだそうです。
どのような温度で立体構造が崩れだすかはタンパク質によって異なるそうです。また、タンパク質を変性させる力は熱だけではない。酸やアルカリ、濃い塩や金属イオンもタンパク質を変性させるそうです。
レモン(酸)と牛乳を混ぜると、牛乳のタンパク質が凝固し、豆腐はにがり(マグネシウムイオン)で凝集する。チーズの凝集はレンネットという酵素による立体構造の変化であると聞きました。
さて、卵の凝固については、意外と複雑だそうです。
白身の主成分は卵白アルブミンというタンパク質で、卵白アルブミンを凝固させるには、75度~78度(以上)の高温を加える必要がある、という事です。この温度では卵黄たんぱく質も完全に凝固するので、卵は固ゆでになります。
卵を60度~65度くらいの温度で保持すると、まだ卵白アルブミンは凝固しないが、卵白に含まれるトランスフェリンというタンパク質が凝固する。すると卵白は部分的にゆるくゲル状になった(葛湯みたいな)状態となります。この状態ではまだ卵黄は固まらないです。ここからさらに温度をあげて、65度~70度の間で保持すると卵黄が凝固しはじめます。これがいわゆる温泉卵の状態です。
しかし、この状態ではまだ卵白アルブミンは凝固していないのです。これを固ゆで状態にするには、最初に述べたように80度近い温度が必要となります。
違った方法で、卵黄をしょう油に入れて半日ぐらい置くと、温泉玉子の黄身の様にプルンと固まります。
その変化については、恐らく、しょう油の塩による卵黄タンパク質の凝固ではないかと思われます。思うというのは、実際に調べたわけではないからです。因みに、卵はそれ自体が一個の細胞なので、卵黄、卵白といった構成成分の変化は浸透圧とは関係ない。というのも、浸透圧は細胞がまるごと保持されているときに関係するからです。
タンパク質の凝固 黄身:65度~70度 白身:75度~78度(ただし、白身のうちトランスフェリンというタンパク質を固めるには60度~65度)
いろんな料理に応用できますよ!!
茶碗蒸も、卵は黄身と白身の2種類という見方ではなく、3種類のタンパク質から出来ているものと考える事で、違ったものになってきます。
お試しあれ!!