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特集日本文化創造プロジェクト嵐山本店 座敷「待幸亭」大改修
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総料理長 徳岡邦夫 コラムCOLUMN from executive chef Tokuoka Kunio

2006.05.12

SAYURI.

ささゆりは日本だけに自生する原種のゆりで、中部・近畿・中国・四国地方と宮崎県の
それはささゆりが純粋な野生植物である証拠でもあると考えられますね。里山の半一部にだけ自生するらしいです。自生地域によって、もしくは、それぞれの環境によっても外観に違いがあるそうです。

日陰を好み、西日が強く当たらず、株元が日陰となり風通しがよく、涼しく乾燥しない所を好むらしく、冬の寒さに強いが高温と過湿に弱いとされています。笹やカルカヤなどの雑草と共に自生しますが、木や草が茂り日当たりが少なくなると生育できないらしいです。

発芽・生育年数が特に長く、球根腐敗病やウイルス病(バイラス)などの病害に弱いため栽培は難しいとされています。ささゆりの開花時期は山地の高低差によって異なりますが、5月下旬から6月中旬に及ぶそうです。花が一斉に咲き、一斉に散るといったタイプのゆりではなく、同一自生地でも咲いているもの、散っているものなど色々です。

清楚で可憐なその姿は、私たち日本人の心に馴染み、さわやかな清涼感を与えてくれます。しかし、ささゆりの開花時期は”受難の季節”と呼んでも良いほど、心ない人々の乱獲による被害が多いのです。

限りない文明や文化の進化は、人間社会の欲望を駆り立て、とどまるところを知らないかのようです。

そして、その弊害が地域の自然をむしばみ、そこに生存する生物すべての生命の危機にも及んでいるのです。

わずかに生き残ったさゆりは、今やかけがえのない地域の宝として、さゆりを愛する人たちにより守られているということです。
映画の「SAYURI」にもそういうような、ニュアンスが感じられるのでしょうか。

自然界から学ぶことがたくさんあるように感じています。
自分で自分の首を絞めているようにもみえます。