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嵐山吉兆の女中さん、厨房スタッフに聞く
海外からのお客様をこれまで幾度となく迎えてきた吉兆スタッフにとっても、同じスタッフとして海外のシェフと働くのは初めての体験。それ故、不安と期待が入り混じった複雑な思いで9月1日を待っているに違いない。3ヶ月間共に働くスタッフにも、その胸中を聞いてみた。 |
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問:吉兆のどういう部分を特に知って欲しいですか? 回:料理だけではなく、庭、軸、部屋、花、器など、その季節毎の雰囲気を持った設い、おもてなしなど、一人のお客様を迎えるにあたり、トータル的に色々なことに気を遣い、一番良い状態で提供できるように心配りをしているところなどを知って欲しいです。一言で言えば、日本文化の極みが吉兆にはあります。
また、料理の技術は勿論のこと、材料への拘り、鮮度、そしてそれを盛る器に至るまで、細やかな気遣いを持って取り組んでいます。 |
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問:吉兆の料理、サービスへの拘りは? 回:サービスで言えば、先ず予約を頂いた後、お客様に合わせた料理、空間の演出をするために、要望、希望などを伺います。味付けや量、素材や調理法の好みは、そのグループに対してではなく、あくまで個々人に対して極め細やかに対応するようにしています。その結果、同じ料理を頼んで頂いても、子供と高齢者では、素材の切り方、味付けなどを違える場合もあります。更に、めでたい席、接待、法事、還暦祝いなど、利用する目的もお客様によって様々です。そういった利用目的を予めお聞きし、出来るだけその目的にあった設いを提供するように配慮しています。
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問:吉兆で料理を学ぶにあたり、知っておくと良いことは? 回:日本の伝統や季節毎の行事に合わせて色々な演出をします。そのため、中心的な伝統行事を知っておくと、何故そういう演出をしているかなどがよりわかると思います。更に、懐石料理の心は、茶事の「一期一会」です。単に言葉の意味を理解するだけなら世界中どこでも知ることができると思いますが、実際に一期一会の精神でお客様と対峙するということがどういうことか、それを是非身を以って、感じて欲しいと思います。また、これは言うまでもありませんが、やはりコミュニケーションが取れることで、より色々なことが学べると思います。3ヶ月の間に、日本語でのコミュニケーションが取れるようになれれば良いですね。 |
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問:日本料理が難しいと思う部分は? 回:一つの料理が完成するまでには、想像を超える色々な仕事が必要になりますが、その下仕事がどれをとっても非常に大変だという点です。また、日本では避けて通れない四季を如何に表現するか、季節感を先取り、それをお客様にも同じように感じてもらうということ、そして、それらを全て含んだ上での「おもてなしの心」は、一見簡単そうでとても難しいものです。料理が幾ら美味しくても、そういった心が少しでも疎かになっていると、全てが台無しになってしまいます。 |
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問:反対に、スペイン料理について知りたいことは? 回:パエリアや伝統的な料理、家庭料理などについて教えて欲しいです。
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問:海外のイベントに同行したことで感じることが出来た日本料理の良さは? 回:日本と生物の扱いがまるで違うところに正直驚きました。と同時に、鮮度の良いものを一番美味しい方法で食べることができる知恵を、日本人は知っていると思いました。また、包丁の種類の多さにも改めて気づかされました。更に、包丁を巧みに操る技術の高さ、そして、日本人の丁寧な性格故の、繊細で美しい刻み方などについても、再認識しました。 |
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問:最後に一言 回:文化や環境、言葉の壁はありますが、同じ志を持つ仲間として、色々なことを学びたいです。そして、我々も外国人の考え方、意見、日本に対して持つイメージ、知りたいと思うところなどを知り、これから迎える外国人のお客様への対応に活かせるようになれば良いと思っています。 |
言葉の通じない状況が如何にもどかしいものか、想像では判っていても、実際はその予想をはるかに超える。ちょっとしたことを説明するにも、通常の倍以上のエネルギーが必要となる。しかし、そういうことを乗り越えて意思疎通が出来るようになれば、その先にはこれまで体験し得なかった経験と異文化コミュニケーションの楽しさ、面白さ、喜びを感じることが出来るに違いない。そして、異文化を知ることで、外国人の興味関心がどこにあるか、また、どんなことを知りたがっているかなど、直接肌で感じ、質問されることによって、今後、海外のお客様を迎えるに当たり、より適切な回答、説明が提供できるようになるのかもしれない。 |
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