橘 「床の掛物は又兵衛」
徳岡孝 「又兵衛の断簡で、在原行平。金森宗和の所持、表具も宗和です」
徳岡孝 「ふつう、一文字と風帯は同じ裂ですけど、これは色違いの金紗」
掛物
鈴木 「表具がまた、絵を一段と引き立てていて、すばらしい」 徳岡孝 「ふつう、一文字と風帯は同じ裂ですけど、これは色違いの金紗」 鈴木 お花は薄と菊、瓶掛が蔦の細道の絵で、王朝の雰囲気が漂っています。この瓶掛は古そうですねえ。木目を洗い出して、持ち手のところが雲の象嵌になっている。 徳岡孝 おもしろいですねえ。ちようどいいのがありましたな。 榊美 お花がすっきりと、よろしいこと。 榊せ 花入は……。新しいものですか。 鈴木 こちらでは初めて拝見しますけど、形は尊式ですね。 徳岡孝 秦蔵六の尊式。この軸にふさわしいものをと、悩みましてね。初使いでございます。 榊美 まあ、それは有難いことで……。茶籠は唐物でしょうか。 鈴木 和組のようですね。お盆は淡々斎の花押がありました。お好みのようです。 榊せ 建水が小振りで可愛らしい。 鈴木 砂張で、煎茶器からの転用なのでしょう。茶籠の中に楽に納まる寸法です。
淡交 別冊 茶籠と茶箱 「月」に寄せて 亭主=徳岡邦夫 2003年 6月号