稲垣
糖質が全体に少ないのですね。最初は約30%。
菅野
1食で1日分ぐらいのたんぱく量がありました。高級なお店ほど糖質が少なく、たんぱく質が多いのだと思います。糖尿病腎症ではたんぱく質を制限するのでこういうところでの食事は難しいかと思っていましたが、お魚類は食事全体で60gまでにしてくださいと言えば。
徳岡
できますね。
菅野
ベジタリアンの方も来られるとか。
徳岡
すべて野菜というのも可能です。日本料理には精進料理という方向もあり、海外の菜食主義の方などそのバリエーションに驚かれます。蓮根餅、ごま豆腐とかですね。日本人は食べ慣れていますが、海外の方はとても感激されますね。
稲垣
私は海外からお客さんが来ると会席料理に連れていくことが多いのですが、大変喜ばれます。
徳岡
日本料理は海外で人気です。日本人は長生きで肌もツルツル、食べ物が健康と美容にいいのではないか、という話をされます。最近はニューヨークタイムズの1面に「うま味」の記事が載っていました。いまやローマ字でumamiは世界語です。科学的にも舌にうま味を感じるレセプターがあるということがわかったそうです。レセプターは胃の中にもあるそうです。
稲垣
そういう話、出てきますね。
徳岡
甘みのレセプターは1種類複数個、苦味は50種類ぐらいで複数個あるそうです。では、味の表現をする際に苦味の特徴を表現することが豊かなおいしさの表現にならないか。さらに、嗅覚は380種類ぐらいのレセプターがあり、食感のレセプターも無数にあり、テレビなどの情報にも味覚が左右される。おいしさって、すごく複雑なのですね。
稲垣
最終的には舌ではなく、脳で感じるものですからね。いろいろな情報が統合されて。視覚も非常に大事ですよね。吉兆さんは、この器も美しい。最近は受容体だけでなく消化管ホルモンにも作用する、と言われてきています。食は非常に奥が深い。
徳岡
人間が生きていく根源ですからね。
徳岡
(煮物椀が来て)これがマヨネーズなしの真丈です。
菅野
……おいしい。
徳岡
遜色ないですね。
稲垣
これでカロリーはどのくらい減るのですか。
菅野
100kcalくらいは。
徳岡
マヨネーズが入るとフカフカして色も黄色く、きれいになります。
菅野
もっとおいしさも。
徳岡
出ますね。
稲垣
京都大学農学部の伏木享先生はだしの味だけでなく、油のうまさもあると言われました。動物でも油を好んで食べるというのは興味深い。
徳岡
あ、伏木先生。さっきの話は伏木先生の本からですよ。
稲垣
それは確かな情報だと思います(笑)。
雑誌:Islet Equality 11月号 35~39ページ / 刊行元:ノバルティス ファーマ株式会社