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日常レベルで取り戻したい 病気にならない日本の食生活
稲垣 戦後、日本人は動物性脂肪の摂取が約20倍、脂肪全体でも約3倍に増えています。糖尿病の増加は食生活の変化が原因ではないかと言われますが、実際に食は生きる根本ですね。
徳岡 日常生活の中でもう一度、日本食というものを見直すことが必要ではないかと思います。ラーメンも、もう日本食といえば日本食ですよね。10代、20代には畳の部屋に入ったことのない方もいらっしゃるでしょう。そういう世代に僕たちも伝えていかなくてはならない。根本は、愛を込めて家族のためにつくるということではないか。レストランはいろいろな形態があっていいのですが、一番は家庭の食生活。病気になる前に、食生活を見直さないと。
菅野 病棟でも熱があって食欲のない患者さんはおかゆに変えたりしますが、体の状態に食形態がマッチしていると食べることができるのですね。嚥下が悪い方にはミキサーにかけたものを出したりしますが、最近は筍の煮物が形はそのままでスプーンで食べられ舌でつぶすことができる調理法もあり、通常の料理と同じ形状で提供できるので、ペースト食よりも摂食率が上がります。形態や見た目は大事ですね。まず、食べたいと思うこと。そこから摂食は始まると言われています。
稲垣 今日は600kcal以下の会席料理を徳岡さんにチャレンジしていただいて、大変おいしく、美しくいただくことができました。このカロリーでこれだけ充実した食事ができること自体驚きですし、できればこういう食事を病院でも出したいとも思います。五感、六根を駆使していかにおいしくつくるかということが、カロリーを抑えながらでも大事だと思いました。そして、カロリー計算を菅野さんにお願いして私自身大変勉強になりました。献立を工夫するというようなことは医者には絶対できないことで、改めて栄養士さんのプロはすごいと思いました。
今日は食のあり方、おいしさとは何か、食の原点に関わることについてお話することができて、大変楽しかったですね。本当にありがとうございました。
吉兆代表取締役社長 徳岡 邦夫(とくおか くにお)

雑誌:Islet Equality 11月号 35~39ページ / 刊行元:ノバルティス ファーマ株式会社

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