芸妓遊びはお茶屋に限らず。
「京都三大コワイ」のせいで芸妓遊びは遠い夢、と腰が引けてる御仁も多いかと思う。"1コワ"は「一見さんお断り」。紹介者なしでは入れませんよというアレ。"2コワ"は「高過ぎるお会計」で"3コワ"は「未経験者は白眼視されるのでは」というこちらの勝手な思い込み。芸妓遊びの正統派ステージである「お茶屋」の敷居はちょいと高いが、都都逸バー『波木井』なら3コワ不要。祇園ワンダーランドへの誘いは、三味線弾きのおとうさんの手引きで。この街で信用を築いた店なれば、売れっ子芸妓のリクエストもお願いできる。いかなる幸せが待っているかは、社長たちの笑顔からご推察あれ!?
座敷で仕出しをとるもよし。
さあ、遊ぼう!今様旦那衆によるヤル気満々宴会の始まりぃ〜。お揃いの面々は元マイクロソフト、現インスパイア代表取締役社長の成毛眞氏、WISHLIST代表取締役社長の吉川裕久氏。『京都吉兆嵐山本店』総料理長の徳岡邦夫氏のお仲間たちだ。 
よそで腹ごしらえしてから遊ぶのもいいけれど、目いっぱい楽しみたい3人は2階座敷に腰を据え、食事と芸妓さんをオーダー。こういった手配はすべて店が取り仕切ってくれる。いわば。『波木井』はお座敷のプロデューサーであり、コンシェルジュでもあるのだ。この日は『京都吉兆嵐山本店』がお休みなので、近くの『花吉兆』から料理の仕出しを取った。食事はほかにも『菱岩』などの仕出し料理、本店を含む『吉兆』系列店では懐石や鍋も注文可能である。
野郎どもが結束の杯を交わしたところでスルスルと襖が開き、待ってましたの綺麗どころ登場。「こんばんは。ようこそおいでやす」。花名刺をもらって、本番開始!
すべて芸妓にゆだねてしまうが賢い。
美しい。ただそれだけで芸が成り立っているような芸妓さんや舞妓さんたちだが、話芸でもまた盛り上げてくれる。六本木のキャバクラで頻発する「なんで客の俺が女の子を笑わせないといけないの?」というような現象はここでは起きない。「いややわ、おにいさん」。「こないだ、こんなことが・・・・・」。プロによる絶妙な会話展開に、社長たちはうひゃうひゃ腹を抱えて笑ったり、フムフム真顔で頷いたり、退屈は1秒たりとてなさそう。舞妓が天然で入れる合いの手に、みな顎が外れそうである。まずは笑い第一。色気は時間をかけて期待すべし。これ、祇園流なり。
祇園とのお付き合いは数年、夫人同伴で訪れることもあるという上級者・成毛氏は「やっぱり、クラブより花街」。本日、花柳界デビューに等しい吉川氏も「芸妓さんって、伝統に縛られたお人形さんみたいなのかと思っていたけど、全然違う。10代の舞妓さんにもしっかりした志があって立派。ここの楽しさには文化がありますね」。
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