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京都吉兆 × イタリア料理
●徳岡邦夫  ●すべての皿はローマに通ず
これって何かのお間違いでは?この写真、日本料理じゃないんですか。それも、世界の名物日本料理の頂点を極める、<京都吉兆嵐山本店>のものではありませんか。いえ、待ってください。よく見ると、お箸の位置がビミョーですねえ。しかも、お皿にのってる白いの、ありゃソース?真相は次ページ!

日本料理人vs.イタリア料理の勝敗はいかに。
前のページの写真を見て「あれ、イタリアン特集じゃなかったの?」と思った方、間違っていません。確かにイタリアン特集なんです。ただ、作り手が日本料理の料理人、それも、 <京都吉兆嵐山本店> の徳岡邦夫氏だから、こんなことになっているだけなんです。下の料理は、徳岡氏が幾晩も悩み、時には「この仕事、受けるんじゃなかった」と思いつつも、本誌のためだけに考えてくれたスペシャルコースです。なんでまた、バリバリの日本料理人にイタリア料理を作ってもらったのか。それには理由があります。
昨年秋、イタリア・トリノで開かれたスローフード協会主催のサローネ・デル・グスト(味覚の博覧会)に、日本料理界から初めて招聘された徳岡氏。一番の心配事だった食材があれもダメ、これもダメの状況の中、苦心に苦心を重ね、なんとかコースを作り上げた。結果、大絶賛の嵐。
さらに、今年1月、スペインで開かれたマドリード・フュージョンにも参加。このふたつのイベントを通し、立て続けに「世界」に触れた徳岡氏。日本料理人の目から、世界の食を俯瞰で眺めることができただろうし、日本料理というものを外側から捉え直すことができたに違いない。そこで、「イタリア、スペインの成果を踏まえた"日本料理"を作ってください」という無理難題をぶつけてみた。そして、挑んでくれたのが下のコースだ。
彼の考え方はどんな料理を作る際にも一貫している。「共生」。店を通じ、生産者、流通業者と料理人が共生し、料理を通して、サービス、そして客が共生する。客が料理を口に運ぶことで、生産者との思いと客がひとつにつながる。また、食材が持つ自然と人とが共生することにもなる。そして、食卓を囲むことで育まれるコミュニケーションを大切にしよう。食事は「絆」を培う場でもあるのだから。これが、徳岡氏の考えである。要はハート。すべては、人間同士のつながりの上にある。
「イタリア、スペインと回って感じたことは、東と西の食文化の交流は、これからますます"ありだな"ということ。イタリアの"守り"と、スペインのアバンギャルドな"攻め"。これは、ともに日本料理の伝統の中にもあるものです。日本料理は今、世界から大変に注目されていますが、一流といわれるシェフたちは、薄味でヘルシーということや、日本ならではの食材への興味、また、類い稀な日本料理のテクニックへの強い関心にとどまらず、日本の精神的なバックヤードがもたらす神秘的なもの、また、営々と受け継がれてきた日本料理の伝統が放つ芸術性にまで深く惹かれているようです」
では、ここらで、料理についての解説をお願いします。
「視覚に訴えるもの、味覚重視のもの、臭覚に訴求するものなど、流れの中で、波のように五感を刺激できたら、と考えました」
日本料理人の叡智の粋、いや、もしかしたら、腕ずくで作り上げた『ブルータス』のためのイタリア料理コース、とくとご覧あれ。
第1の皿の湯葉は、保護されているわけではないのに、1000年以上も作りつづけられているもの。これぞまさしく、日本のスローフードということで用いたもの。
また、第2の皿は、世界が注目する日本料理の中でも、最近特に注目されている「盛りつけ」を意識したもの。芸術点高し。カブ唐墨和え、海老納豆レタス巻き、マグロ・マッシュなど全8品。
第3の皿は、苦労した末に生まれた日本のパスタ。胡麻エキスで葛切りを作るところまで行き着くのに、相当な時間を費やした。
第4の皿は、逆転バーニャカウダ。動物性発酵食品のアンチョビを植物性発酵食品の白味噌に転換。そして、野菜をメインにつけて食べるところを、伊勢海老などの魚介をメインにつけるよう転換。ふつふつと煮える白味噌とニンニクの重なり合った香りの、なんとかぐわしいこと。

BRUTUSのための1日限り特別コース。

第4の皿

第3の皿

第2の皿
第1の皿

バーニャカウダ白味噌仕立て
鮑、伊勢海老、筍、アスパラほか
器/白磁、テラコッタ・コンロ

イタリアでお世話になったシェフからいただいたコンロを使って。バーニャカウダはアンチョビのソースに、野菜をつけるが、それを逆転。ニンニクを牛乳で煮込み、ペースト状にして白味噌と合わせたソースに魚介をつけていただく。味噌とニンニクの相性抜群!鮑や生の伊勢海老にイタリア野菜をメインに添えて。

胡麻葛切りの冷製パスタ
モッツァレラ、トマト、バジル
器/大正バカラ

徳岡氏が試行錯誤を繰り返した一品。最初は胡麻豆腐をパスタに見立てようとしたが、うまくいかなかった。そこで、胡麻のエキスだけで葛切り状にすることに。ある程度、食感と歯応えを出したかったので、初めは麺のように細く切ってみたが、もちもちになりすぎ、これも失敗。で、生まれたのがショートパスタだった。

八寸盛り込み
いわばオードブル盛り合わせ
器/青竹、大正バカラ大皿

鮒寿司のゴルゴンゾーラ芥子醤油パン、白身魚醤油漬け黄身、サーモン香草巻き、牛舌、カブ唐墨和え、海老納豆レタス巻き、マグロ・マッシュ、塩ゆでセロリ芥子味噌和え。青竹も京都を象徴するシンボリックなもの。白いのは百合根のソース。好みでつけながらいただく。世界は今、日本料理の繊細な盛りつけにも大注目。

湯葉グラス
汲み上げ湯葉、焼き海老、柚子ほか
器/吉兆オリジナル・バカラグラス

イタリアのトリノでも同じ料理を披露。だしの葛あんを加え、ヨーロッパで大流行の柚子の香りを添えた。何かメッセージ性のあるものを、と考え、京都伝統の湯葉をモチーフにした。湯葉こそ、1200年も変わらぬ製法で手作りされている、まさにスローフード。イタリアでは100人前の湯葉を徹夜して、一から作り上げた。

第5の皿は、トリノでも好評の一品。牛肉を昆布じめに。「昆布は今一番、海外の人たちに伝えたいもの。フランスなどでは、昆布を使うシェフも増えていますが、使い方がよく分かってない。例えば、オマールとか野菜。軽く仕上げたいからと、オマールをゆでてます。でも、ただの湯でゆでているから水っぽく、うまみに欠ける。昆布だしでゆでたら、うまみがアップするばかりでなく、昆布のとろとろでアクも取れ、おまけにミネラルもとれる。こんないいもの、ないんですよね」
また、この料理では、最近注目のトマトに含まれるグルタミン酸を、昆布のグルタミン酸に転換。「なるほど」な使い方を見せてくれている。
一品一品に込められた、日本の伝統文化とイタリアのハートの融合。でも、このコース、残念ながら誌面だけのお楽しみ。
「料理の世界では国境がなくなりつつあります。今回、ほんの少し世界に触れて感じたことは、"日本料理が一番!"だってこと。祖父の言葉ではありませんが、やっぱり"世界之名物日本料理"だと思います。そして、日本料理はまだまだ進化できる。そう確信しています」
かく言う徳岡氏、プライベートでは、気楽なイタリアンに行くことが多いそうだ。
ふーむ、この勝負、引き分けですかねぇ。

BRUTUSのための1日限り特別コース。

第8の皿

第7の皿

第6の皿
第5の皿

デザート
卵白のプリン、さくらんぼアメ
器/バカラ

分解と再構築的発想のデザート。卵を黄身と白身に分け、卵白だけをプリン仕立てにし、卵黄でソースを作り、上からかけたもの。ペパーミントを添えて。これは、イタリアというよりも、マドリード・フュージョンで受けた刺激からの発想か。卵のほわっとした風味の合間に、カリッとアメがけされたサクランボの食感を楽しむ。

鶏鍋
鶏肉、ゴボウ、ズッキーニほか
器/土鍋

鶏肉と季節の香味野菜を鶏のストックで蒸し煮にする鶏鍋。 <吉兆> で普段登場する料理だが、野菜をトレビス、ズッキーニ、エシャロットなどの洋野菜に変え、セルフィーユを添えて、イタリアン鶏鍋に。コントルノである野菜も同じ鍋で煮る。まったくの和の土鍋なのだが、こうなると、イタリアの鍋に見えるから面白い。

グジ塩焼きカレー風味
白甘鯛、焼き茄子、蛤スープ
器/英国製カップ

最近、フレンチやイタリアンの世界でも、グジ(甘鯛)をウロコつきのままカリッと焼き上げ、ウロコごといただく料理が流行中である。それをアレンジしたもの。カリッと焼いたグジにアツアツの蛤の濃いスープをかける。まわりに並べたディルから、ふわっと香りが立つ。お吸い物とも違う、イタリアンの椀ものになっている。

牛肉のカルパッチョ
牛肉昆布じめ、マッシュポテトほか
器/白磁ジノリ

イタリアでは肉のうまみをアップさせるために、トマトのグルタミン酸を加えるが、ここは日本。牛肉のうまみ成分であるイノシン酸に、トマトじゃなくて、昆布のグルタミン酸をプラスしたってわけだ。牛肉の下にはマッシュポテト、上にはくぼみを作り、オリーブ油と醤油を。これも、イタリアで発表した作品。揚げ米を添えて。

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