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セイコーは時計作りに真正面からぶつかり世界の最先端を走り続けてきた。機械式ムーブメントでは、1960年から発売されたグランドセイコーで手巻、自動巻で、共にスイス時計を凌駕する。'69年には世界初のクオーツ腕時計を発売。さらには、'74年にクレドールの販売が開始され、ムーブメントとデザイン共に世界の最高級ブランドの地位を確立した。だが、セイコーはこの名声に甘んじていない。さらに'98年には機械式とクオーツを高度に融合させたスプリングドライブムーブメントの開発に成功する。驚くべき探究心と向上心がセイコーの技術を支えているのだ。
京都の食の世界にも、限りない情熱を燃え立たせている男がいる。それは『京都吉兆』の三代目若主人・徳岡邦夫さん、その人だ。吉兆は昭和5(1930)年の創業。京都の懐石料理の伝統を頑なに守り続けてきた。徳岡さんは、この懐石の伝統に、現代的な感覚を取り入れた斬新な和食を提案する。例えば、白トリフやフカヒレなどの海外の食材を使ったり、和食以外の調理法をアレンジしたりして、より美味い料理を求め続けている。 今回紹介する料理は、これまでの常識を覆す茶碗蒸し。茶碗蒸しといえば、極平凡な料理に思えるが、徳岡さんは、卵と黄身と白身を構成するタンパク質の凝固温度が3種類に分かれることに着目し、それぞれの温度を考えて蒸すことによって、さまざまな食感と味を楽しめる衝撃的な茶碗蒸しを作り上げた。 伝統を踏まえながらも、さらに前へと進む果てしない探究心。セイコーと吉兆は未来を見据えて羽ばたき続ける。

見るからに美味しそうな京都吉兆・徳岡邦夫作の茶碗蒸しは絶妙の舌触り。口の中いっぱいに幸せが広がる。器は何と魯山人。

伝統に甘んじることなく、創作料理を作り続ける『京都吉兆』三代目・徳岡邦夫さん。子供のような純粋な目で日本の懐石料理の未来を見据えている。
徹底的に磨き上げられた厨房で、流れるような手際で次々と極上の料理を作っていく
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