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京都・嵐山の地に館を構える京都吉兆嵐山本店。美しく手入れされた庭、清潔感と華やかさを併せ持つ座敷には、創業者湯木貞一氏の美意識がすみずみまで生きている。こうした空間で、実質的においしく、かつ食通たちの心をつかむ洗練も備えた料理を提供するのが吉兆だ。
若主人の徳岡邦夫氏は三代目。湯木貞一氏の孫にあたる。20歳で吉兆の厨房に本格的に入り、大阪店、東京店などで経験を重ねた。そして1996年、36歳で嵐山吉兆の料理長に就く。以来、長く料亭につきまとっていた「ベールに包まれた存在」というイメージを払拭すべく、世間へのアピール方法からスタッフの教育面に至るまで、さまざまな変革を起こしてきた。
そんな徳岡氏の料理におけるモットーは、「今、目の前にいるお客様が望んでいるものを提供する」こと。吉兆の献立の中には、時折、ごく自然に西洋料理の要素を活用した品が登場する。日本料理の枠から外れかねない大胆な試みをさりげなく行なうこの姿勢は、氏のモットーの延長線上にあるものだ。

私が家業の料亭、吉兆に入ったのは今から約25年前。その後、世はバブルへと突入し、料亭もずいぶんと不思議な場所として時代の中でもてはやされてきました。異常だったといえるでしょう。そしてバブルがはじけた時は、正直、私たちも大変でした。端的に言えばお客が減ったのです。
バブルがはじけた'90年、私はちょうど30歳でした。年齢的な節目と世間や店の状況の大変化が重なったこともあり、この事態をいっそう深く自分の中で受け止め、考え悩みました。
「お客が減るということは、必要とされていないということではないか」というのが、その時の悩みの出発点です。京都の街は1200年もの歴史があり、その中には長い年月を重ねている店、生き残っている文化、使い続けられている道具や食材があります。それらはなぜ生き残っているのだろうか?必要とされているからです。ならば、吉兆も「必要とされる店」にならなくてはいけない。
そのための第一歩は、お客さまが何を求めているかを、真剣に考えることでした。換言すれば、時代に適応するということです。
当時で、吉兆の創業から約60年が経っていました。60年前と同じことだけをしていてお客さまに喜んでいただけるでしょうか。これは、まさに湯木貞一が時代の要求に応えながら自分の美学を貫いた、その精神なのです。それが吉兆なのです。
日本料理の店でありながら、湯木は料理に、キャヴィアやフォアグラを取り入れました。これは、海外経験が長く、好奇心が強く頭の柔軟な常連さんに導かれて使うようになったものです。
このように自由な創造を促してくれる支持者がいて、彼らとの交流の中から料理が生まれ、発展していく。常に外を向き、世の中の先端を意識できる場所にいて、その上で、お客さまが求める内容を店に取り入れることが大切なのです。
今のお客さまは、フランス料理やイタリア料理、中国料理にも通じている方が多い。もちろん、それに迎合するのはよくありません。お客さまは、吉兆には折り目正しい料理を求めています。それでいて、華やかでわかりやすい部分も少しほしい。しかし、あからさまであってはいけない。そのバランスを感じ取り、ぴったりのものを提供するのが私たちの仕事です。

お客の求めに応じて作る料理は、無理がない

フランス料理の技法や外国の食材を取り入れた品は湯木の時代からあり、私が考えたものもあります。お客さまは何を期待して吉兆に来るのかを意識していれば、自然にたどりつく結果だと思います。
今回紹介した肉昆布締め、温卵ワインソース、フナパンの3品はその一例です。ほかにもフカヒレ小茶碗、トマトシャーベット、リゾット状に作る牛蒡御飯などたくさんあります。
なお肉昆布締めは、昨年スペインのマドリッドで外国人料理人に披露したものです。日本にある昆布とカツオの組合せと、スペインをはじめとするヨーロッパ南部にあるトマト牛肉の煮込みの組合せを"たすきがけ"にした発想です。昆布とトマトは両方とも旨み成分であるグルタミン酸を持っています。ならば、昆布と牛肉も合うはず。日本とスペインの代表的な「旨みの組合せ」を交換して構成しなおしました。東洋と西洋の融合です。
また、温卵のワインソースは、できたての温泉卵を最大に堪能してほしい、と考えたもの。通常、料理店では温泉卵は冷やしておいたものを使用しますが、しかし、できたてのほうが卵の香り、旨みが格段に濃厚で鮮やかです。この力強い味わいには、やはりある程度力強いソースを合わせるのが、一番素直ではないか。そこで、フランス料理の方法で作った赤ワインのソースとしました。
フナパンは、湯木貞一の創作です。鮒寿司のフナの皮を細かくきざみ、からし醤油とバターをぬったパンでピラミッド型に包んでとじるのが、当初の形。上に、フナの卵をのせます。白いピラミッドの上にちょこんとオレンジがのっている姿は、シンプルで潔い。味は濃厚で複雑なので、そのギャップもおもしろいでしょう。私はフナの皮のきざんだものにブルーチーズを混ぜ合わせ、クリーミーなコクを加えたものを、今は作っています。カナッペみたいなもので、お凌ぎ的に1個出してもよいし、今回のようにロールに仕立てて八寸の中の一品としてもなじみます。
こうした、いわゆる伝統的な日本料理らしくない小さな一品は、私にとっては特別な存在でありません。どの品も、無理やてらいがないと思います。それは、一つには、私の中にフランス料理に対する理解がある程度あるからです。私は東京で働いている時、フランス料理のシェフのもとに営業後毎晩のように通い、料理について、ソースの魅力について多くを教えてもらいました。そうした蓄積があるから、西洋料理の要素を取り入れても無理がないのだと思います。
そしてもう一つ、こちらの方が大切ですが、お客さまが求めているバランスとタイミングを常に意識しているからです。神経を澄ましてお客の求めに応じて作り上げた料理には、無理がありません。
そういう意味では、お客さまがこうしたものを求めなくなったら、出すことができなくなります。しかし今の時代、好奇心を持って過ごしていれば自然と外国を反映したおいしさを求めるようになるのではないでしょうか。私自身も、そうした世の動きに遅れないよう、常に気をつけています。
時代を反映しながら踏み外さず、いつも生き生きしている店が理想。そういう店であるために、クロスオーバーする感覚は常に自分の中に備えています。


料理解説
八寸 フナパン
フナ寿司のフナの身をみじん切りにする。同量のブルーチーズ(デンマーク産ブルーキャステロ)を混ぜ合わせ、薄切りにしたパンにバター、芥子醤油をぬった上に細長くのせて巻く。適宜に切り、切り口を上にして置き、フナ寿司の卵をのせる。
牛舌のうま煮
焼霜海老と納豆のレタス包み
サーモンの香草巻き 一寸豆のうま煮
鯛の柿の種揚げ 南京塩蒸し 椎茸塩焼き
針独活 アスパラソース 以上解説省略
肉昆布〆 ジャガイモピュレ 芥子 浅葱 木の芽
昆布を水で洗い、神戸牛の霜降りロース肉を薄切りにし、この昆布の上に敷く。薄切り肉に、塩、粉山椒をふる。だしをとるために水出しした昆布から濃いぬめりの部分をとり、適量、薄切り肉にまぶす。約20分間、昆布締めにする。
皿に盛り、アサツキを散らし、ジャガイモのピュレ、マスタード、木の芽などを味が均一になるようにバランスをとりながら盛りつける。
温卵 ワインソース
大蒜チップ ふり柚子
牛すじ肉、タマネギ、セロリ、シイタケをフランベする。鶏がらスープを加え、6時間程度煮込む工程を3回くり返し、漉す。漉したスープを煮詰め、別鍋で煮詰めておいた赤ワインや少量のポルト酒と合わせる。仕上げに少量のバターと塩、山椒、醤油で味をととのえる。
できたての温泉卵が入った器に仕上げたソースを適量かけ、ニンニクチップを散らす。仕上げに、木の芽や柚子など季節の香りを強めにふる。

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