まるでこのイベントにタイミングを合わせたかのように京都の桜が満開になった4月9日、NPO法人(特定非営利活動法人)「エコロジー・カフェ」の関西事務所設立記念シンポジウムが、京都市の建仁寺で開催された。
「エコロジー・カフェ」とは昨年8月に東京千代田区に設立され、今年の2月22日に認可が下りたばかりのピカピカのNPO法人。設立の主目的は、人間を取り巻く生態系に着目し、生態系を守ろうとする地域活動が持続的、効率的に行える仕組みを提供するとともに、専門家や一般の人たちの交流できるホームページをはじめとするオープンなプラットフォームを供給することにあるんだ。エコカフェのキーワードは、「環境」「生態系」「多様性」「循環系」「絶滅危惧種」「子供たち」「学習」「体験」「オープンな場」。関西事務所はその名のとおり、関西方面の活動を拠点として京都市下京区に設置される。
イベントは関西事務所所長の岡正人氏、来賓の佐村京都府副知事の挨拶のあと、京都議定書発効を記念して、京都大学の白山義久教授から「海と地球環境」と題する講演があった。地球の環境は表面積の3分の2を占める海が吸収してくれていること、未来の二酸化炭素処理の方法など、ヘェボタンを100回ぐらい押したくなるような内容に、来場者も身を乗り出して熱心に聞き入っていた。その後、本誌でもおなじみの福岡伸一青山学院大学教授や工藤和美東洋大学教授ら有識者による、狂牛病(BSE=牛海綿状脳症)や学校、食など身近な環境に関する座談会が開催された。
現代に住む地球人として、豊かな自然環境を次世代に残すにはどうしたらいいのか。その答えを探ろうとする取り組みのひとつが、エコロジー・カフェの活動。識者だけの密室ではなく、誰もが参加できるオープンなスペースを構築することで、さらに多くの英知を結集できることだろう。
奥には達磨大師の画、縁側にはうぐいす張りの廊下、京都を象徴する日本最古の禅寺・建仁寺の本坊がイベント会場。自然と共生していた中世の志がわかる気がする。 |
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座談会のパネラーは左から、白山義久・京大教授、緒方大助・らでぃっしゅぼーや社長、福岡伸一・青山学院大教授、徳岡邦夫・京都吉兆専務、工藤和美・東洋大教授。マイクを持っているのが進行の山崎俊巳・エコロジー・カフェ運営評価委員長。 |
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本誌でおなじみの福岡教授は、狂牛病の発生メカニズムについて語られた。草食動物である牛に、成長が早いからって肉や骨を食べさせたらダメですよねー、うんうん。 |
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海が地球環境を決定すると語る白山教授。二酸化炭素の増加で温暖化が進行すると、特に海への影響が大きいそうだ。干魃の発生や海面上昇による国土の喪失など、このままではヤバいことだらけです。 |
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