このイベントの出席者は、それぞれの立場から自分の考えを披瀝した。それはもちろん各人万別で、肉が大好きな人もいれば、このごろほとんど食べませんね、という人もいる。料理人の立場から、材料についてどれほど繊細に徹底的に吟味しているか、を語ってくれた人もいれば、関西出身の立場から肉を食べることへの情熱を語ってくれた人もいる。 いずれにしてもこれからは、この肉はどういう素性の肉であるのか、を説明してくれない店では食べられない。説明できない店では席を立つ勇気が要求されるだろう。
それを無粋というのなら無粋を強いているのは誰なのか?ことは生命の問題である。
その昔、キリストは「ワインは私の血でありパンは私の肉」だと言った。然り、人は食べたものでできている。植物であれ動物であれ、命あるものを私たちは殺して調理して食べて、生きている。福岡教授がつとに説明しているように、「環境は、分子の流れとして私たちの身体を通り抜けていく」。私たちは食べるということをもっと根源から考え直してみる必要に迫られる時代に生きている。