うちの畑でできる野菜が美味しいといっていただけるとしたら、僕が食べたいものを基本に、楽しんで作っているから、でしょうね。京北町の景色、きれいな水や空気、無農薬、有機肥料、野菜の新芽を食べるアブラムシ、それを捕食するナナシテントウなど、そのすべてが面白い。クモやカマキリもの子を見つけたときは思わず「ガンバレ」と声をかけたくなります。
野菜を作っていると畑の状態や天候に敏感になります。以前農薬を散布していた畑で有機農業を行うと、生態系が確実に変わっていくのが実感できます。1年目はそうでもないですが、2年目ぐらいから生物が増えてくる。一種類のものが大量に発生するのではなく、多種多様な昆虫や、いろんな種類のカエルがやってくる。それもまた楽しいことの一つです。
農家にとって影響が大きいだけに天候も気になる。一昨年は大型の台風に襲われ、昨年の夏は暑かった。野菜の旬も微妙に変化しているようです。難しいことはわかりませんが、地球にとってよくない、といわれることはやはり止めていくべきでしょう。あるいは一人ひとりが出来ることからはじめるとか。僕は勇気農業とともに、販売に関しては地産地消を続けていこうと思っています。
現在は肥料となる鶏糞や牛糞の堆肥はもらっていますが、将来的には有畜にして、鳥を飼ったり、牛や羊がいたりして、その堆肥を自分自身で循環させていきたい。環境を汚さない程度の小さな規模で卵や鶏肉なども提供できるようになればと考えています。子どもがもう少し大きくなって余裕が出てくればね。
北川 徳治(きがわわ のりしげ)
2000年から鮎で有名な桂川が流れる京都市右京区京北で無農薬・無化学肥料で野菜をそだてる本格的な有機農業家。漬物屋で丁稚修行をしているときに野菜の魅力に出会う。主な納入先は嵐山の「京都吉兆」、錦市場の「かね松」。また地元の春日神社にある春日幼稚園のフリーマーケットで販売するなど地産地消を実践している。農水省認可の有機JAS認定農業。 |