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今年5月26日、徳岡邦夫(47)=京都吉兆嵐山本店総料理長=は、ある勉強会にパネリストとして参加した。テーマは「人脈」、聴衆は京都市内の学生団体のリーダーたち。会が終わった後の打ち上げで、徳岡は学生に「今、すごく幸せな気持ちです」と語りかけた。「皆さんに大きな可能性を感じました」。会を主催した1人、中村祐介(22)=立命館大4年=は「年下の僕らを軽く見ず、一対一で付き合ってくれる。だから信頼感がある」と言う。
学生たちは徳岡がこだわる一次産業の世界にほとんど縁がない。なのに、なぜそこまで真剣にかかわるのか?打ち上げの最中、徳岡に改めて尋ねてみた。「彼らの中に次世代の活力を感じられるから」。そう答えた。
「人は誰でも長所短所がある。おれも酒飲み過ぎ!」。酒杯を手に笑いながら、話始める。「だけど、いいところも悪いところもあるという前提を踏まえて付き合えば、最初は気付かなかった長所が見えてくる」
「そうして長所が見えてきた人たちが徳岡さんの人脈になるんですか?」。周りで聞いていた学生の1人が聞く。「いや、それは人脈というより友達。だから利用するんじゃなくて、おれは友達に利用される価値のある人間になりたいと思う。それが自分を磨く努力につながるから」
「友達は自分の能力を引き出してくれるカギになる。言い換えれば、人と出会うことは自分の可能性を大きくすることだし、人との縁を切ることは自分の可能性を損なうこと。そう思わない?」周囲を見回す。学生たちの目が輝く。「ここにいるみんなも、おれの力を引き出してくれる。年齢とか、職業、ポジションなんて関係ない。人は誰でもそれぞれ能力を持っているんだから」
その日の勉強会の最中、学生からこんな質問があった。「徳岡さんの目標は何ですか?」壇上の徳岡はこう答えた。
「最近いつも考えています。私の人生はどこに向かうのか?」
「今まで、吉兆に関連ある方の幸せ、お客さまの満足を懸命に考えてきました。これからは吉兆の存在を知らない方、吉兆とは関係を持たない方にとっても価値がある存在になりたい。そう思っています」
「次世代のために自分に何ができるか、何をしなければいけないかと考え続けている」とも言う。そして吉兆に全く縁がなかった学生たちの姿にも、徳岡はそのヒントがあると感じている。だからこうも言った。「今後、君たちと一緒に社会に貢献できる事業をやれるかもしれない。本気でそう考えてます」
徳岡の仕事は料理人の枠を越え始めた。学生との交流に続き、別の事例を紹介したい。舞台は京丹後市だ。
=敬称略、つづく
勉強会で学生と話す徳岡(中央)。講師というより友人の口調だ
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