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フランスのタイヤメーカー「ミシュラン」が10月に発行する「ミシュランガイド＊」の京都・大阪版を巡り、京阪神の3都で波乱が広がっている。大阪では橋下徹知事が「世界に大阪の食文化を売り出すチャンス」と歓迎するが、京都ではミシュラン側が「評価するのは皿の上の料理のみ」とするのに対し、老舗料亭などが「料理だけではなく、店全体の雰囲気なども評価されるべきだ」と反発、調査を拒否した店もある。対象からはずれた神戸の店からも「なぜ・・・」と不満も出ており、反応は様々だ。
同社によると
、7人の日本人が2007年秋から調査を開始。現在は、京都・大阪の飲食店から約1000店を選んでの「覆面調査」をほぼ終え、身分を明かして料理人などから取材したり、写真撮影を依頼したりする「訪問調査」を進めている。格付けは6月末から7月上旬に、調査員が集まって決めるという。
大阪では特に、お好み焼きや串カツといった庶民的な食文化が注目を集めたが、ガイド総責任者ジャンリュック・ナレ氏（48）は記者会見で、「そういう大衆的な料理は食べたことはないが、調査はあらゆるジャンルを対象にしている」と含みを残した。
お好み焼き店を全国展開する「鶴橋風月」の広報担当・本並淑樹さんは「世界の権威ある本にお好み焼きが取り上げられ、世界中に紹介されるとすれば、本当にうれしい」と話す。
ミシュランの表敬訪問を受けた橋下知事も「大阪の食が世界から注目されることは間違いなく、感謝している。府もこれから食の都として売り出そうとしており、弾みがつく」と喜ぶ。
一方、京都では、創業約290年の老舗料亭「
美濃吉」10代目当主、佐竹力総さん（62）が「京都の料亭は料理とともに庭やしつらえ、雰囲気も含めて総合的に評価さるべきだ」と話すなど評価法に懸念を抱く店も。「一見さんが押し寄せるのは嫌」という店もあり、数件は訪問調査を拒否したという。
星付け会議の議長も務める
ナレ氏は「我々は歴史を評価するのではなく、お客さんに毎日出す料理で評価している。読者に店を推薦するのに、お店の許可は必要ない」と拒否されても、掲載すると説明している。
ただ、京都吉兆嵐山本店の総料理長、徳岡邦夫さんのように、「日仏の文化交流につながる」と肯定的に受け止める店もある。
ナレ氏はまた、今回対象外とした神戸については、「今後検討する」としているが、南京町商店街振興組合（神戸市）の理事長で、老舗の肉まん専門店「老祥記」の曹英生社長（52）は「関西でもっともバラエティーに富んだみせがそろう神戸を外すなんて・・・。もう一度、考え直してほしいぐらいだ」と残念がった。
＊ミシュランガイド
1900年発刊で、26年から星付き評価を始めた。約100カ国で年間100万部以上が読まれ、欧州では最も権威のある飲食店ガイドとされる。（1）食材の質（2）料理法と味付けの完成度など5項目を基準に、欧米で専門の研修を受けたシェフやソムリエ経験者が評価する。東京版は2007年11月から発行されている。
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読売新聞：2009年4月15日 （水） |
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