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------- 高麗橋吉兆、そして東京吉兆での修行がはじまるわけですね。
徳岡 祖父のそばに居て、いろんなところに連れて行ってもらいました。その時ですね、料理の素晴らしさがわかってきたのは。祖父が呼ばれていく席には、当時の総理大臣や大蔵省次官といった人々がいることも多かったです。その席で、僕が料理の説明をすると、日本を動かしている彼らが「なるほど」と聞いてくれたのです。こんな僕でもひとりの人間として認めてくれるわけです。「料理の世界は面白い!」と目が覚める思いでした。お茶の世界でも同じかもしれません。千利休は商人だったけれど、茶室という空間があったおかげで大名たちの集いに参加できたわけですから。
------- その後、お父様が社長を勤めていらっしゃる京都吉兆に戻られてからは、様々な改革を実行されて、いろいろな要因はあるでしょうが、バブルの頃よりも売り上げを伸ばされました。
徳岡 京都に戻ったのは二十六歳です。意気盛んだったんですね。自分は後継者だと当たり前のように振舞って、父親の作り上げたテイストや組織を全部否定してしまったんです。当然、上からは叩かれ、下からは突かれ拒否反応を起こされてしまいました。でも、調理場で料理人たちと真剣に料理について議論を交わすうち、次第に理解してもらえるようになったんです。
------- 京都吉兆のどんなところが問題だとお感じになっていたのですか?
徳岡 ひとりひとりが違う価値観で仕事をしていたことです。社長に誉められたいとか、上司に怒られたくないとか、全員がバラバラな気持ちでやっていました。吉兆は何のために存在するのか。それは紛れもない、お客さまの気持ちを汲み取り対話することが一番大事だと思います。その価値観を全員が共有するために、定期的にミーティングを開き、お客さまに喜んでいただけるコミュニケーションをするためには、何を変えるべきか、どんなことをしたらいいか、みんなで話し合う機会を増やしたんです。
------- 吉兆で初めて大学の就職課や就職情報誌に求人を出したそうですね。
徳岡 組織で一番大事なのは「人」ですから。ベテランのサービスの方も大勢いらしたのですが、長くやっている人ほど、自分の価値観にとらわれ、それ以外の価値観を排除してしまう。そこで二十代の新卒を中心にスタッフを刷新したんです。
------- 新卒社員に先入観はありませんが、ゼロから教育するのは大変でしょう。
徳岡 そうですね。一例を挙げると、サービス担当者には、接客の作法はもちろんですが、料理の味見もしてもらっています。まず、調理場ですべての工程を見学させ、自分で座敷に運んで、席につき、お客さまがいただくのと同じタイミングで味見をさせます。そうすると、料理によって調理場の状況が予測できるようになります。また、この料理は、運ぶ時にどんな注意を払うべきか、どうやったら食べやすいか、どんな一言をお客さまに添えてあげたら喜ばれるかを考えさせ、レポートを提出してもらいます。そしてその知識を共有し明日の吉兆のため、皆で役立てるものにしていきます。茶事の心に通じますが、お客さまの心を思いやり、推し量ることこそ、本当のコミュニケーションであり、客と亭主がコミュニケーションを円滑に進めるために必要なものだと教えています。
------- 調理場の改革はいかがですか。
徳岡 吉兆では従来、煮方は煮方、焼き方は焼き方と、分業制を取り、担当者も固定していたのですが、京都吉兆では、頻繁に担当を変えて、何でもできる料理人に育てます。また新入りの仕事だった、かつお節や昆布など調味料の管理を煮方のトップに移行しました。新入りには数の管理はできますが、品質の管理はできないからです。


------- 素材選びもかなり厳しく取り組まれているそうですね。
徳岡 全国行脚で常にベストな素材を探しています。塩は複数の天然塩を、焼き物用、煮物用、吸い物用などに使い分けていますし、醤油は吉兆用につくられたものです。また、天然物は味が一定しませんから、塩だけでなく鰹や昆布、お米なども常にブラインドテストを行い、取捨選択を欠かしません。
------- お客さまひとりひとりの好みで、味付けを変えるようになさったとか。
徳岡 嵐山店では、できるだけ一番始めに、食欲が増すような酸味のある料理をお出しするようにしています。二番目には、味の基本である煮物椀をお出ししますが、お客さまがお召し上がりになった後で、「いかがですか?」と伺っています。この椀は吉兆がベストだと考える味加減なのですが、お客さまに、丁度良いか、濃いか薄いかをうかがって、その後のお料理の味加減を調整するんです。また、八十歳と二十歳のお客さまが同席される場合なら、同じ料理で良いわけがなく、それぞれに合わせるために「切り方、味付け、分量を変えられます」と伝えます。もちろん嫌いな食べ物を事前にお伝えいただければ、その素材を使わないメニューにさせていただきます
------- インターネットで、「食コミュニティー」というサイトを立ち上げ、スローフード活動や、環境汚染、残留農薬など食を取り巻く問題にも取り組まれていますね。
徳岡 吉兆で提供するサービスを支える様々な人々の情熱を発信し、応援したいという思いからです。料理人だけでなく、料理の向こう側には、食材を提供してくれる生産者、陶芸家、畳職人、たくさんの人たちがいます。料理を食べるということは、その人々の思いを感じ取り、コミュニケーションしていることでもあると思うのです。
祖父湯木貞一は、「世界の名物 日本料理」と言いましたが、総合文化を提供する文化事業なのです。「品質、味覚、伝統、食」といった言葉が誤って理解されないように日々心掛け、営みを積み重ねていくことこそ文化を作り上げることだと思いますし、吉兆を根底で支えている特定の地域の文化を大事にすることは他の地域への良い影響を与えることにも繋がっていくと信じています。

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