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松花堂弁当は3500円、お弁当を中心とした懐石は6500円(いずれも税・サ別)。座敷の利用は懐石のみ。写真のカジュアルなカウンター席も眺めがいい。料理はすべて要予約。

京都吉兆 松花堂店
京都府八幡市八幡女郎花43
電話 075-971-3311
11時〜15時 17時〜20時(ラストオーダー)
※15時〜17時は喫茶メニューのみにて営業
月曜休(祝日の場合は翌平日に振替)
カード不可

JR京都駅から南に広がる洛南の地は、平安京の郊外として、歴史を刻んできたエリア。奈良、大阪へと連なる広い地域に、背景となる時代も様々な史跡が点在している。ぐるりと回れば、時間を自在に横断するような愉しさがある。
たとえば、木津川・宇治川・桂川が合流する八幡市。この地はその昔、水運の要として重んじられたが、江戸期の文化を語る上で欠かせない才人が現れている。絵画、歌、茶に秀で、書では寛永の三筆と呼ばれた松花堂昭乗である。
この松花堂が愛用したと伝わる四つ切り塗箱をお弁当の箱としてアレンジしたのが、吉兆の創業者・湯木貞一氏である。松花堂庭園に吉兆が出店したのが3年前。本家本元、吉兆の松花堂弁当を、昭乗ゆかりの地でいただく。この趣向は、ほかでは味わえないものだ。
松花堂庭園には、岩清水八幡宮にあった昭乗の書院と草庵茶室「松花堂」が移築され、公開されている。吉兆はその庭園の入り口にある。
庭を望む座敷で、弁当を組み込んだミニ懐石コースを賞味した。つややかな塗りの弁当箱の蓋を開けると、とりどりの八寸が愛らしい。ここにはご当地発祥の八幡巻が必ず入るのだという。市立庭園の中とあって敷居の高さはないが、逆に、そんな場所での吉兆の味を気軽に味わえるというシチュエーションが、稀少である。
食後は庭園を散策する。内縁には草庵茶室「松花堂」と書院がある。草庵は仏間を備えた特殊な造りで、信仰と芸術に生きた江戸の粋人の精神が生々しく息づいているようだ。訪ねたのが午前中だったせいか、庭園にはほかに人はいない。書院に座して、庭の臥竜の松を眺めていると、江戸の昔もそう遠くないような心地がしてくる。

内園には草庵茶室「松花堂」、書院があり、それを囲む外園は、3つの茶室、水琴窟、椿園が点在する憩いの場。付属の美術館では、10月21日より絵画を中心とした特別展「松花堂昭乗のまなざし」が開催される。

京都府八幡市八幡女郎花43
電話 075-981-0010
9時〜17時(入園〜16時半)
月曜休(祝日の場合は翌平日に振替)
入園料400円

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