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Text by Sayaka MIYAMOTO
Photo by Chiiho SANO

スシ以外の日本食が実現
サローネ・デル・グースト

スローフード協会(以下SF)が、1996年から2年に一度トリノで開催している大規模な食品フェア「サローネ・デル・グースト」が、2004年10月21日から5日間開催された。SFが常に提唱している「伝統的な製法で作られた地元の食品を紹介し、保護していこう」という目的の下、イタリア国内外の食品とその生産者が一堂に会するのが他の食品フェアと違うところだ。各国の正しい食文化の伝搬、普及を、と世界の味の試食コーナーや食事会も企画される。
SF国際部理事でSFジャパンの名誉会長のジャコモ・モヨーリ氏は、ここ最近の日本食への高まりに、機は熟したとして、今回「京都吉兆」の招聘を企画した。イタリア国内でブームになりつつある「キッチュな日本食」に一石を投じ、「本物の日本料理」をイタリアに紹介しようというのだ。

吉兆が使う京都の水は
こうして再現された

現食に対してとても保守的なイタリアでは、大都市ミラノでさえも、パリやロンドンに比べて外国料理の普及率は低い。日本料理がブームとはいえ、ほとんどがスシとイコールという状況だ。そんな中で「スシのない、本物の懐石料理」が受け入れられるのか。それ以前に、本物の日本料理がイタリアで実現できるのか。
大きな問題は水だった。日本から水を運んで来るのが一番シンプルだったが、「もっと理想的な、クリエイティブな解決方法を見つけたかった」とSFの担当者は言う。トリノにあるSMAT水研究所は、宇宙ステーションなどに水を供給する、世界最高水準の水研究所。ここに吉兆が厨房で使っている水を運び込み、京都の水をトリノで作ることに成功。成分検査の後、その数値に近い水を、ピエモンテの源泉から採取した水を基に作り上げたのだ。

魚、野菜、食器・・・
食文化の大きな違いが鬼門に

食材の調達も困難を極めた。たとえば、活け締めの技術を使わず、保存方法も日本とは大きく異なる魚は、身に締まりがない、血が回っていて臭うなどの理由から、生はもちろん、加熱しても香辛料などでごまかすことのできない日本料理の素材としては、とても厳しい。野菜も日本特有のものや香味野菜などは手に入らない。そこで地元の食材、旬の味を、吉兆の料理に取り入れることにした。ピエモンテの最高品質の仔牛肉を生で使い、マグロの代わりに。茶碗蒸しには、ピエモンテの森で採れる薫り高いフンギ・ポルチーニをしのばせる。鶏皮を炒って、地元の野菜・カルドの千切りと和えて八寸とする、などなど。
イタリア人関係者に試食をしてもらい意見を聞いてみた。茶碗蒸しは「オッティモ!(おいしい、の最上級)」、生牛肉の一品もOK。ところが地元名産の栗と日本から持参した最高級のコシヒカリで作った栗ご飯は全員が「×」。イタリア人、特にイタリア最大の米作地帯であるピエモンテ人にとって米=リゾット。リゾットの仕上がりはアルデンテで、かつ全体がクリーミーにまとまっていなくてはならず、日本風に炊きあげたご飯は、彼らにとっては最悪の出来栄えなのだ。
現地の素材をできるだけ使おうとするあまり、日本料理なのかイタリア料理なのかわかりにくくなってしまうジレンマにもぶつかった。日本もイタリアも料理法がシンプルなだけに難しい。日本特有の美しい器に盛ることができれば、見た目の問題は解決するのに。椀などいくつかの食器は日本から持ち込まれたが、高価な器類をすべて揃えるのは不可能だったようだ。

絶賛の茶碗蒸し。
調理法、素材使いなど
イタリア料理に与える影響は?

10月23日本番。半年前からすでにソールドアウトになっていた70の予約席には、トリノ近隣の名士やジャーナリスト、エスニックに興味のあるリッチばかりが集まった。ピエモンテの食材をふんだんに使って再現された「和」に神妙な表情で箸を運ぶ人々。一方、食後は満足気にテーブルで談笑を続ける人々の姿が目立った。お代わりのオーダーがデザートの後にも次々と入る。
この夜の食事会は成功したと言っていいだろう。今後、イタリアで「スシ以外の日本料理」が広がっていき、ブームになるかどうかは未知数だ。しかし「素材にあまり手を加えず、その魅力を生かす」という点で、他のどのヨーロッパ料理よりも日本料理と類似しているイタリア料理にとって、調理技法、素材の扱い方など、大きな影響を与えて行くであろうことは確実だ。

北イタリア最大の青果卸売り場にて。見知らぬ野菜、果物を泥付きのまま噛んでは味見する吉兆の徳岡邦夫氏。 これがトリノで再現され、徳岡氏のだし引きテストにも合格した水。それでも水ようかんが、何度煮直しても固まらないというハプニングが起こってしまった。
ホテルメレディエンの厨房スタッフも総動員して、最後の盛りつけ。オレンジのカップに盛り付けた八寸には、和ロウソクを添えてサービス。 スローフードジャパン名誉会長のジャコモ・モヨーリ氏と徳岡邦夫料理長。
食事会が開催されたホテル「メレディエン」のシェフも初めての味に真剣な表情。 イタリア語に訳された品書きを見ては、自分が何を食べているのか確認しつつ、神妙に味わう人々。

上記イベント参加レポートはこちら

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