平安神宮などをはじめ、美術館や図書館など、文化施設が集まる岡崎公園の一角に位置する細見美術館。その最上階にある茶室「古香庵茶室」にはこの日、京都の文化人から政治家まで、実に華やかな顔ぶれが並んだ。これは「京都スローフード協会」が主催したワインのテイスティング・パーティなのだ。
イタリアで生まれ、日本でも広まりつつあるスローフードの考えは、そもそも昔から京都にあったもの。京都の食文化はスローフードの視点からも世界的に注目されているのだ。「伝統文化と環境の共生、と聞いただけでは難しそうですが、結局はおいしくて楽しいから、みんな続けられるのではないでしょうか」と話すのは、京都府知事の山田啓二さん。
確かにその場にいる人々は、職業や立場を超えて、ワインや会話を心から楽しんでいる。その様子は、京都の人々が、横のつながりから生まれるものをとても大切にしているように見える。それについて京都吉兆の徳岡邦夫さんはこう話す。
「目に見える「ビジネス」とか「得する」ということだけに固執してないからでしょう。つまり、目に見えない物、つながりから生まれるものを大事にしているからです。自分だけが、生きるのではなく、"供に生き続ける"ことの大事さをしっているからなんでしょうね」。
京都人が大切にするこの「横のつながり」こそ、京都が世界に文化を発信し続けるパワーの源なのかもしれない。