私の代になっても、この「吉兆」スタイルは変わりませんが、ただ、今の時代の「吉兆」を創っていきたいと考えています。当然のことですが、料理は安全で美味しくなくてはいけません。まず、塩、醤油、昆布、かつお、野菜…それぞれの食材を見直すことから今の時代の「吉兆」創りを始めました。見た目、匂い、食感、味、喉越し、と検証していくと、最終的には生産地に行き着きます。その土地の話を聞き、地方独特の調理の仕方を探る。そうやって得た新しい知識に「吉兆」がこれまで培ってきたノウハウなどを加えて、新しい料理を生み出していくのです。革新だけではだめなんですね。
今まで積み重ねられてきたものに、新しいものを融合していくことが大事なことだと思います。常に変化し続ける柔軟性を「吉兆」は持ち続けたいですね。