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「多彩な食材を栄養のバランスよく、変化に富んだ料理法で楽しむ」というのが、日本の食卓の基本だ。その背景には、味や素材へのこだわりが強い一方で、未知のものを積極的に取り入れる進取の気性と懐深さを併せ持つ、日本人の国民性がある。家庭では自国料理を大切にしつつも、さまざまな外国料理が日本風にアレンジされて日常的に登場する。「今日はカレー、明日はパスタ」といった具合だ。また、多数の料理研究家や料理人が創作するレシピが常にメディアで紹介され、その日のうちにも家庭料理に反映されるといったことからも、食への飽くなき希求が伺えるだろう。
家庭の外でも、多種多様な料理を楽しめるのは同じだ。日本食に限っても、高級な老舗料亭から、気楽な割烹料理店、すしやそば、焼きとり、天ぷらなどの専門店、あらゆる種類の酒と料理が気軽に楽しめる居酒屋まで、常に共存共栄している。ここ日本では、会席料理(酒を楽しむ会食用の上等な料理)にヨーロッパ産の食材や名窯食器がさりげなく登場するのも、居酒屋でシャンパンと焼酎のグラスが並ぶのも、ごく自然なことなのだ。日本の食は、美しさを追求し、健康面に配慮し、外国の多様な食文化を導入しては融合し、現代人の肥えた舌を満足させるべく、より魅力的な形へと日々、進歩している。
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