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前略 御手紙有難う御座います。手紙のやり取りなんて、少し照れますね。私も手紙は不馴れなので、率直にお答えいたします。「元気です!」。
逸平君が一年間パリで研修していると聞いてビックリしました。そして、尊敬いたします。思っていてもなかなか実行できずに過ぎ去ってしまう事が多い中、すでに十ヶ月目が迫っているというお話、素晴らしいです。Bravo!!パリでの生活の報告も、うなずきながら読ませていただきました。
私がパリや色々な国で料理を作って感じたのは「日本の文化は異端なんだ!」という事です。鎖国の所為でしょうか。最近では、日本ほど独自の文化を持った国は、ないのではないかとさえ思っています。つまり、個性が有るという事なんだ、と。それゆえに各国に合わそうとしたり、他国の文化を取り入れようとするのかもしれません。その中で共通点を言うと「共に生きてきた」という事なのでしょうか。共に生きていく中で、その環境に適応した考え方や生活様式、そして笑いが、伝統や色々な形で線のように目の前まで繋がって来てるのでしょう。
私の祖父・湯木貞一は、「世界の名物 日本料理」という標語を1961年に考え出しました。それは、日本の美的価値を押し付けるという事ではなかったと思います。例えば、陶芸家や代々の所有者、長く鑑賞されてきた方々それぞれに息づく様々な思いを五感で感じ受け止め、多くの方々に伝える事の大切さを示していると考えます。
吉兆には、茶の湯を確立させた利休ゆかりの樂をはじめ、北大路魯山人やバカラなど、様々な歴史や物語を持った器があります。器ごとに料理の個性はさまざまですが、これらすべてと献立や空間、時間も含めたものを、お客様との関係の中で作り出し、「生」の喜びを感じていただく事。「命を開く料理」こそが、吉兆の求める料理の在り方ではないかと思うようになりました。そしてそれは、お客様とだけではなく、生産者の皆様やスタッフとの気持ちが通い合う事も含まれているのです。その事がいつもできたら、料理人としてこれ以上の喜びはありません。
そして今は、パリの人であろうがウクライナやインドの人であろうが、目の前にいる方と気持ちが通い合う事が全てであると感じています。そのために工夫する事が必要になってきます。江戸時代と今日では違うのです。大切な物を守りながら、様々な環境に適応して、成長できるといいなぁと思います。そして、多くの友達ができるといいですね。私も頑張ります!パリでは都合がつかずお会いできませんでしたが、今後とも仲良くしてね!!
因みに、パリの料理人は皆さん、御自分が世界一だと思っているようです。日本、京都でもある意味、学ばなければいけない事かもしれませんね。
では、9月にご一緒できる日まで。
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日時: |
9月23日(日)18:00〜 |
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会場: |
京都吉兆嵐山本店
京都市右京区嵯峨天竜寺
芒ノ馬場町58 |
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定員: |
30名(最少開催人数20名) |
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料金: |
1名様61,000円 |
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(料理、飲物、税金、サービス料込)
※お席は会員の方同士でのご相席となります。
※当日の宿泊はご用意しておりません。 |
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