京都議定書採択10年を記念したシンポジウムで講演するため、31日入洛したメルケル独首相を出迎えたのは、京都ならではの「おもてなし」の数々。首相は、環境相として97年の地球温暖化防止京都会議(COP3)で訪れて以来、10年ぶりとなる古都を満喫した。
京都迎賓館(上京区)で開かれたドイツ、メルケル首相の歓迎昼食会。山田啓二知事、太田房江・大阪府知事らと共に、首相一行を迎えたのは料亭「京都吉兆嵐山本店」(右京区)の料理だった。日本料理の素材と手法に独創的なアレンジを加えた名店の技は、ドイツの人々だけでなく日本人列席者の舌をも楽しませた。同店に昼食会の料理提供の依頼が入ったのは、約2週間前。メルケル首相がはしに慣れていないため、まずナイフとフォーク、洋食器で料理を出すことが決まった。同時に、列席者の数が90人と多く、逆に食事にかけられる時間が約1時間と短いという厳しい制限があることも分かった。
総料理長、徳岡邦夫さん(47)のねらいは「昼食会は参加された方同士の会話が主で、食事は従。食べにくさを排し、限られた時間で十分味わえるシンプルな料理を作ること」。メニューはオードブル、スープ、魚料理、肉料理、果物、菓子の6品目で、約1週間前から試作を開始した。
例えば、焼き野菜と鱧、湯葉を使ったお椀は、鰹節のだしでは「インパクトが弱い」と、すっぽんのスープを使った。スズキの焼き物に添えるソースは、辛子酢みそ、ごまだれ、蓼のペースト、もろみ味噌、赤ワインソースなどを用意して比較。辛子酢みそは柑橘類を使ったものと、酢を使ったものを食べ比べた。
徳岡さんは「メルケル首相に私たちの料理を食べていただけるのは大変光栄なこと。見た目は洋食でも、日本の味を存分に感じていただける料理を考えた」と話していた。
昼食会の料理の試作品を前に議論をする徳岡さん(右端)ら
昼食会メニュー一覧 |
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一、 |
アマテガレイそぎ造り・煮あわび肝だれ、伊勢エビ焼霜・ごまあえ、湯引きたこ、オクラ梅肉、とろタタキ |
一、 |
焼野菜、鱧、湯葉、すっぽんだしにて |
一、 |
スズキもろみ味噌風味 |
一、 |
ロースうま煮、野菜 |
一、 |
野菜ごはん |
一、 |
果物ゼリー寄 |
一、 |
水ようかん、抹茶 |
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昼食会で出された料理の試作品 |
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