『雅』と『粋』。
『いなせ』に『はんなり』
西川:さて、『和』にも東西で違いがあって、京都は日本文化の本家のようなところだと思う訳です。
その京都に対して 、東京は、次男坊みたいなものなんですよね(笑)。
イメージで言ったら、京の『雅』に対して、江戸の『粋』ですね。
徳岡:江戸の『いなせ』に、京都の『はんなり』とか・・・。
西川:そうそう。その『はんなり』に代表されている京都の表現には、『癒し』という感じがあるような気がしますね。
京都は、西陽が入る部屋を素敵な部屋の一つとして見ることもある訳ですよね。
アンニュイな、まさに”わびさび”に通じる部分で。東京にはそれが無いですね。
南東の角部屋が一番いいということになりますから。
徳岡:だから、どちらも 素敵なんですよね(笑)。いいところをそれぞれが共有すればいいのではないかと思いますね。
西川:それから、これはちょっと面白い話なんですが、「転がる石には苔はつかない」という話があるでしょう?
それをイギリスでは「転がってばかりいるから苔もつかないじゃないか」という意味になるし、同じ英語圏でも、 アメリカでは「どんどん変わっていくことがいいのだ」という意味になるんです。
それは京都と東京の違いにも当てはまるような気がします。
徳岡:どちらも、「変える勇気と変えない勇気」が必要ですね。変えてはいけないのは、 自然の一員として共に生きるために必要なルールかなと思います。
そのためには、違う国の文化、風習、 時代による価値観の違いを理解することも必要ですよね。今アメリカでは、「勝ち組、負け組」ということがはっきりしていますね。
でも日本の香道の『聞香』という香りを当てるゲームは、勝ち負けを競う合うわけではなくて、 「ここに来ている人みんな、仲良くしようよ」というゲームなんです。
こういうことは日本の歴史の積み重ねの中にあるんですよ。
シャレがきいてて、面白いんですよ!今 そういう事を海外にも伝えてあげたら、みんな必要とするだろうなと思います。
そういう交流によって、平和な地球になればいいなと思うんです。
西川:なるほど、その通りですね。私たち世代から、若者たちに対して、何かアドバイスができるとしたら・・・。
徳岡:海外に出て行くために『和』を知るとか、流行っているから『和』に興味を持つのではなくて、素晴らしい人間になるために、「時の積み重ね」、「
自分のルーツ」を知る必要があると思うんです。
たくさんの情報の中から自分で求めて選び、決断し、実行して、 その責任を自分自身で取る覚悟を決めることが大事なのです。そして、知識を増やすだけではなく感じることが重要です。
必要な事は懸命な営みの中から必然的に得られると信じています。諦めない事、自分自身を信じることが大切。
その過程での多くの出会いが楽しいのかも知れませんね。
西川:同感ですね。それに自分自身を持つということが、同時に他人を尊重するということでもありますからね。
つまり求心力と遠心力みたいなもので、真ん中に引っ張っる力があるから遠くまで引っ張ることができるんです。
そういう自分磨きや自分探しのためにも、今、『和』に触れるということが、見直されてるのではないかと思いますね。 |