徳岡さんは今、新鮮で味の良い農作物が最近徐々に減っていることに危機感をもち、循環型の農業を日本に普及させるプロジェクトに力を入れている。こんなところにも、日本料理界をリードする吉兆の意欲が表れている。
吉兆では、店に一歩足を踏み入れたときから、もてなしが始まる。床の間の書、花、座敷のしつらい、庭、そしてもちろん器と料理、これらすべてに客に対する重いが込められている。ならば客も同じ姿勢で料理を楽しみたい。料理は一期一会。そんなことを感じさせるのが、吉兆の座敷であり料理だ。