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 山の手前の川は水音もなく、紺碧から藍へ、墨へと色を沈めていく。

 上流では保津川、このあたりまで来れば大堰川、渡月橋を過ぎれば桂川と名が変わる。保津川下りの下船場にもすでに人影はなく、入れ替わるように鵜飼いの舟が客寄せの準備を始める。「嵐山吉兆」は、川と嵐山とに対峙して、竹垣の門を構えている。

 水が打たれた石の畳。その先は玉砂利が敷かれ、静寂の中から来客を告げてくる。竹で編まれた行燈に灯が入り、足元を誘導するようにいくつか置かれている。加えて、ドンペリニヨンの空いたボトルを加工して作られた水蝋燭用の燭台。グリーンがかったボトルを透けて揺らぐ灯は、控えめな黄金の色だった。

 門の脇にタクシーが止まり、ひと組またひと組と今夜の晩餐のゲストが降りてくる。

 この日、京都では、祇園祭とは別の祭りが開かれようとしていた。

夏を謳う逸品と
ドンペリニヨンの涼風。

 まだ赤みのささない楓がやわらかく風に揺れる。内庭に配された緋毛せん敷きの縁台にゲストは座り、それぞれにキュヴェドンペリニヨンヴィンテージ1992が手渡される。

 和の、京の、この夜の舞台にも、背の高いフリュートグラスは少しの違和感もなく収まって見える。

 グラスに唇を近づけると、底からの絶え間ない発泡が、風を送ってくるようにも思える。ひと口含めば冷涼な流れがひと筋生まれ出る。この川の名を変えることなく、三百年ほど前から手にした人すべてを潤してきた。

 現在のドンペリニヨン醸造最高責任者リシャール・ジェフロワ氏の顔も見える。数年来、日本料理(懐石)とドンペリニヨンの相性を探求してきた氏にとって、京都は幾度も足を運んだ地であり、親しい料理人もいる。「嵐山吉兆」の徳岡邦夫氏もその一人で、この日は互いに再会を楽しみにしていたという。

 席の準備が整い、部屋に通される。二十名ほどの参加者の中には、着物を召したご婦人もいる。

 ドンペリニヨンで貫かれる会とあって、徳岡氏が最初にしつらえたのは洋風のアミューズだった。献立の品書きには「ちょっと八寸」と記されてあった。徳岡氏の”遊び心”が伝わってくる。

 筒切りにした青竹を器に見立て、スモークサーモン、八丁味噌で和えた鶏のミンチをプチトマトに詰め、マリボーチーズと木の芽のせたものが卓を飾った。竹は「吉兆」自前の竹林から採られたものだ。

 「向付」には、じゅん菜が出された。皿の上に葛の葉とクラッシュド・アイスが敷かれ、バカラのクリスタルの器に冷涼な海。海老と椎茸、オクラも添えられている。二片のゆり根には、山葵と梅肉がのっている。

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