京料理の魅力を教えましょう
左から、笹岡隆甫さん、平松あゆみさん、徳岡邦夫さん。京都に伝わる料理をこよなく愛する3人が、こだわりの和食論を交わす。鼎談の場となった「京都嵐山吉兆本店」にて
徳岡:私と笹岡さんとは小学校の先輩後輩なんですが、平松さんとははじめてお会いしますね。
平松:はい。東京から京都に来て4年経ちました。和食は、特に東京からお友達と来た時に食べに行っています。笹岡さんはいかがですか?
笹岡:いろいろですね。ホントに何でも食べます。休みの日は一日食べてるだけ…(笑)。
徳岡:京都の人だから 家庭で食事する時も、外食する時も和食ばかり食べてるって事はないですよね。「今日は何にしよう。目的によって、今日はこの店にしよう」というのが普通で、その中のひとつが和食っていうぐらいじゃないですか。和食でも簡単なお惣菜的な物から、ちょっと形式ばって座敷に上がったりとか、いろいろあるんで好きに選べますよね。 そのあたりに、関東と関西の違いは 私は、感じませんね。
平松:徳岡さんは東京にもいらっしゃったんですよね。京都との違いはありますか?
徳岡:東京はどっちかと言うと”情報先行型”かもしれないですね。どこどこのお店がいいよって言ったら、皆、列を作ったりとか。
次々に新しいお店ができて…。
味覚って、ホントは舌だけで感じるんじゃないと思うんですね。
目で見たり、聞こえたり、香りだったり、食感だったり、そういう物を全部ひっくるめた感覚が、大脳新皮質に伝えられて、さらに扁桃体に入って感情や記憶なんかと統合されて判断してると思うんです。それと、自分の感じたことだけじゃなくて、テレビや有名人の言った事も判断基準になってると 思いますね。
平松:そう思いますね。
徳岡:ホントは心も大脳が支配してるかも・・・・・。でも料理人は、時代を感じて、食べる人の事を思い浮かべ、もしくは生産者の気持ちが伝わるように作らないと 命を頂いて生きている事に気づかず 神秘的な存在の一部である事を 忘れ去られてしまうかも知れませんね。
マーケティング的技術論とかイメージ戦略的な物はこれから通用しなくなるかも知れませんね。商売っぽい話になっちゃいましたが…。