うちでは、美食の陶芸家として名高い北大路魯山人の器も取り揃えています。魯山人の器だけを使ったコース料理もあります。食に精通していた魯山人は、「器は料理の着物。使ってこそ価値がある」という言葉を残しています。料理を盛りつけたときの構図を絵に描きながら、器をつくっていたのではないでしょうか。
魯山人の器の魅力を一言でいえば「インパクトがある」ことだと思います。独特の色合いや、ひずみやアンバランスな形が特徴ですが、それがかえって、料理と絶妙な相性を生み出しています。
魯山人の作風は、とても自由で独創的です。しかし、桃山時代のやきものをつぶさに研究し、しっかりした基礎があった上で作られたものです。同じ器でも料理との組み合わせ、盛り付け次第で、そのたびに新しい「食の美」を表現してくれます。それがたくさんの人に愛される理由ではないでしょうか。