「一見、芽がなさそうに思うかもしれないけど、スローフードや一次産業の中には絶対に大きなビジネスチャンスがあると思うんですよ」と断言する成毛氏。「実は投資目的で、有機無菌栽培の特許をとった、パプリカ栽培の会社に投資しているんです、1億4000万円。結構本気ですよ。というのも、1次産業の実績を見ると、農薬を使わざるを得ない農家か、長時間労働の農家が多く見られます。生産者も消費者もハッピーになれるその中間こそが必要なのに」。その思いをぶつけて取り組んでいるのが、新しいシステムのパプリカ栽培なのだ。そうしたノウハウを開発すれば、農業自体がビッグビジネスになると説く。
そしてもう一つ、食材に付加価値をつけて売るという手法も大切だとも。京都のお茶屋さんのように、いくらお金を積んでも一見では入れない世界がある。たとえば、スローフードの会に足を運ぶことで、初めて買うことができるというようにと、付加価値をつけた食材の売り方も、これからは必要なのではないか。成毛流、新・1次産業の新ビジネスプランだ。
1981年アスキー社入社。86年マイクロソフト入社、91年同代表取締役社長就任を経て、2000年インスパイアを設立。企業経営コンサルティング、投資事業組合の管理・運営を行う。著書に「成毛眞のマーケティング辻説法」(日本経済新聞社)などがある。