「初めてここ足を踏み入れたのは15歳の時」と話す、『京都吉兆嵐山本店』主人・徳岡邦夫さん。創業者・湯木貞一氏の孫にあたる。料理の道に足を踏み入れてから、大阪の高麗橋本店、東京本店、嵐山本店と、各板場で修行を積んだ。京都で市場といえば錦市場が有名。しかしここ、京都市中央卸売市場は業務用の卸、地元客や観光客で賑わう錦の華やかさとはかけ離れた簡素な造りだ。
朝7時、徳岡さんがまず訪ねたのは先代の頃からの付き合いの『吉彌水産』。看板は何といっても鮪。大きな塊が無造作に並んでいる。京の名だたる料亭・割烹で出される鮪はここで仕入れられているものが多いそうだ。