そして、懐紙。茶道具という印象が強いでしょうが、ちり紙代わり、メモ代わりと、こちらも一度使うと手放せません。ちょっと汚れを拭くとき、覚え書きをしたいとき、懐紙を持っていればこれひとつで済んでしまいます。
一度、お客様から懐紙を使ってご祝儀を頂戴したことがあります。その場で、白い懐紙に筆でさらさらと絵をお描きになって、ポチ袋の大きさに畳んでお渡しくださったんです。
日本には包む≠ニいう文化があります。何かをむき出しで渡すということはほとんどありません。贈り物であれば風呂敷に包みますし、お祝いがあればご祝儀袋を袱紗に包んで持参します。また、お金を渡すにしても裸のままということはまずないでしょう。こうした形で気持ちの込められた心付けをいただくと、とてもうれしく励みになりますね。
手ぬぐいもまた便利なもの。先ほどの懐紙を挟んで携帯すれば、手ぬぐいにちり紙、メモ帳を持ったことになり、出先で困ることはまずありません。
こうした和の道具。かしこまって使うと、かえって野暮。今の生活に合わせて、無理せずさらりと使うと粋ではないでしょうか。