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バイタリティー溢れる語り口。
会う人の心をゆったりと包み、魅了してしまう温かさ。
相手をしっかり見つめて話すその瞳の中に、時折、やんちゃな少年や純な青年の眼差しが宿る・・・。
わずか一代で世にその名を知らしめた『吉兆』創業者の湯木貞一氏の孫であり、京都吉兆嵐山本店総料理長の徳岡邦夫さんに、料理のこと、祖父・貞一氏のことを身近に伺うことができました。
祖父、貞一氏が吉兆を株式会社化したのは昭和14年のこと。それを強力に後押ししてくれたのが、当時、財界の重鎮であった山本為三郎氏や小林一三氏、松永安左衛門氏ら、貞一氏の茶友の人々でした。「武士の時代には、茶室ではまず刀を抜き、殿様も家来もなく、皆が頭を下げて入室します。そして目の前で点てる茶を喫し、同じひとときを共有する。そこにあるのは絶対的な信頼関係。祖父と茶友の方々の中にもそんな信頼関係があったのでしょう。祖父は与えていただくばかりではなく、ギブアンドテイクがきちんと成り立っていたはず。それが祖父、貞一がつくる料理であり、器やしつらえであり、おもてなしのひとときだったと思います」 |
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