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お客さまに楽しい時間を過ごしていただきたいとい う思いから、“日本”を主張しすぎるのでは なく、料理をすべて食べ終わったときに、満足感が 得られるようにしました。注力した点は、技 術的なことではなく、スタッフとの意志の疎通で す。スタッフ全員と意思の疎通ができなけれ ば、いい料理は生まれません。普段、マスコミなど ではトップシェフだけが紹介されますが、 料理はスタッフに支えてもらって作られるもの。料 理人は料理ができるだけでは駄目で、ス タッフのことを気遣える人間性が必要です。そして 互いの信頼関係が、料理のクオリティーコ ントロールへとつながるのです。それを実践してい るのが、アラン・デュカス氏です。
また、これまでの料理は経験や体験で行なわれてい ることが多かったのですが、これからの 料理人は、それをもっと理論的に構築していく力が 必要であると思います。例えば、昆布とか つおはグルタミン酸とイノシン酸が合わさって、う まみが生まれるのです。これをトマトのグ ルタミン酸と肉のイノシン酸に置き換えることもで きますし、肉のイノシン酸と昆布のグル タミン酸が合わさってもうまみが生まれるのです。 そうしたことを知っていると、料理の可能 性がますます広がります。特にこうしたコラボレー ションを行なうときなど、面白いものが できます。 |
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「京都吉兆」総料理長兼取締役専務。湯木貞一の 孫。15歳のときに 嵐山本店で修業を始め、1995年から料理長に。スペ ンのマドリッド・フ ュージョン、イタリアのスローフード協会、アメリ カのCIAなどのイベントに参 加し、日本食の啓蒙に励む。サンフランシスコでの シンポジウムとニューヨ ークの最高権威・JBF主催のMasterpiece Diningを担当。 ジャンルに とらわれない「食の本質」を常に追求し、その 「食」を支える一次産業界の 重要性を以前から提唱。地域活性化にも長年にわた り尽力している |
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京都吉兆
創業は1930年。日本屈指の料亭の一つである。
その原動力となった創業者の湯木貞一は、店の発展だけでなく、日本料理の地位向上に大きく寄与。
東京サミットでは三度、日本料理を担当した。また、松花堂弁当が創業者の発明である。
京都市右京区嵯峨天竜寺芒の馬場町58
Tel:075・881・1101
http://www.kyoto-kitcho.com/
雑誌名:「週刊ホテルレストラン」平成20年 12月26日号 第43巻48号
刊行元:オータパブリケイションズ |
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