松花堂弁当
    前のページ 123456|7|8910 次のページ
ちなみに、従来から使われていた大徳寺縁高(写真3)は被せ蓋がついたもので、点心の器としてよく用いられています。中に仕切りがなく、縁の高さが高くて料理を盛り込みにくく、盛り付け作業は分担が出来ず最後まで一人での仕事となります。よって作業効率が悪く、お客様の前に運ぶときに盛り付けた料理が崩れる心配もあります。少人数の場合にはよいのですが、大寄せ茶会のように沢山の数に対応する場合には少し難しい器といえます。

(写真3)
大徳寺縁高(縦横20.5cm 高7.0cm)
隅切形で綴じ目があり、被せ蓋の裏側と身の底裏に「大徳寺」の焼印があります。
松花堂弁当は少しずつ来る返し手を加えられて、現在の姿になりました。吉兆の店には前出の写真2のように古い春慶塗の松花堂弁当が幾つか遺されていますが、それらを見ますと、中の十字の仕切りの上面が写真1と同じように凸状になっているもの(写真2)に加えて上面が平らなものがあり、取り扱いが楽なように変化が加えられてきたことが判ります。また、田の字形に仕切られた升の中に各種の器を入れていた痕跡も窺うことができます。
    前のページ 123456|7|8910 次のページ
松花堂弁当閉じる
松花堂弁当について 松花堂弁当ものがたり