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桜処の名料亭が演出する 京の会席弁当

グリーンツーリズムシンポジウム(毎日新聞社主催)が21日、東京都千代田区の如水会館であった。テーマは{農と食で地域を元気に」。安全・安心の農作物を作って生かすことによって地域振興を図る方策などについて参加者が活発に意見交換した。シンポに先立って、グリーンツーリズム大賞に輝いた{社団法人葛巻町畜産開発公社」(岩手県)と、優秀賞3団体の各代表に賞状、賞金が贈られた。各団体と、鼎談、パネルディスカッションの要旨を紹介する。

次世代の命をつなぐ食 おいしい食事の技術を伝える

榊原:今日は「食」からアプローチして、グリーンツーリズム、農業、漁業、観光、地域社会について話し合いたい。まず、料理人としてずっと素材を見てきた徳岡さん、今の農業、漁業を、地域コミュニティーをどう考えるか、お話ししてほしい。

徳岡:お客さんに喜んでもらえる料理をどう作るかを日々考えている。真剣になったのは95年に料理長になってから。料理法、器の取り合わせ、海外の技術などいろいろ研究したが、とどのつまりは食材だ。いいものが入らないので、生産者へ足を運び、話し、試食をし、生産の様子を見た。そこで、まじめな人がちゃんと評価されていないというひずみを感じた。収入が限られていて、その結果、次の世代が継ごうとしないところが大半だった。ちゃんと評価しないと、私たちの料理屋文化もすたれてしまうんじゃないか。

榊原:生産者と会うと「非常に危機感を感じる。50年後に息子、孫が継いでくれて、いい食材を作り続けてくれるのか」と。後継者が育たないという事に農業、社会のひずみがあるような気がする。

加藤:我々農協の職員も元々元気が無くなってきた。市場原理主義、成果主義でいくと日本の農業は非常に厳しい。米国、中国には勝ち得ない。違う価値観を見いだすべきではないか。スローライフ、ゆとり、安らぎといったものに農村社会があるのでは。ルバング島で孤独な闘いをした小野田さんと会った。「島では五感がどんどん鋭くなってきた10b先の葉脈が見えるようになった。ブラジルでの牧場経営が一段落して日本へ帰ったら驚がくすべきものがあった。例えば賞味期限。腐っているかどうかが五感でわからない。日本民族はそれでいいのか」という。自律自生の日本文化が他律他生に移行していいのか。レトルト食品を食べる子供の舌は徳岡さんの作るような料理を本当に味わえるのか。徳岡さんらには、伝統文化の継承者のつもりでやってほしい。

榊原:五感が鈍ったのは、恐らく自然に触れていないことから。日本人は精神的、肉体的に弱くなっている。徳岡さん、日本人の味覚はどうなっていますか。

徳岡:五感は生きる力。元々は生きるために必要な、危機を回避する本能。おいしく感じるのは、生きるために必要な量を測るバロメーター。次代、次々代へつなげるために食は大切だという教育が必要だ。

榊原:今の子供は素材を知らない。グリーンツーリズムで体験させる事はとても大事。おいしく感じるのは五感が発達しているということ。戦後ずっと、生産者と消費者が切り離されてきた。グリーンツーリズムはそれを解消する有効な方法だが、加藤さん、この状況をどう直せばいいですか。

加藤:農協組織は目線を常に組合農家だけに向けているのでは、と非常に反省している。全農は「生産者と消費者の懸け橋に」を経営理念にした。食農教育として、田んぼの昨日を首都圏の子供たちに教えるために田んぼの生き物調査を始めた。それらの体験を通じて農業の位置付けを見直してもらおうと。4年間米国で生活して考えたのは、日本の食生活の豊かさを再評価していくことが地域を活性化し、農業者を元気にすることだと。

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